スタートアップであっぷあっぷブログ

元研究者のスタートアップ経営者がスタートアップでの経験やキャリアについて発信するブログ。雰囲気ゴリラ似。

なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 2「小さな失敗が許容されるから」

こんにちは~。

 

なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのかシリーズの2回目「小さな失敗が許容されるから」ということをお話したいと思います。

 

前回のブログに記載した理由一覧はこちらになります。 

  1. 開発が遅れると会社が潰れるから
  2. 小さな失敗が許容されるから
  3. 意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから
  4. 専門性の高い他社に業務を委託するから
  5. 社内ルールや行事が必要最小限だから 

1に関するブログはこちら

 

2. 小さな失敗が許容されるから

 

まとめ

  • 新しい事をやる時には想定外の事がつきもの
  • 研究と同じで仮説と検証の繰り返し
  • ベンチャー企業では失敗が多発してしまう
  • 失敗しても何度でも素早く立ち直ることが大切
  • ベンチャー企業では失敗で失う信頼やブランドイメージが無い

 

実のところ私自身は何事が起きても失敗とは思わないタイプです。頭がおかしい人と思われるかもしれませんが、周りの人達に「失敗」と言われるからそれを「失敗」と呼ぶ人達もいるんだなぁ~、という感じでとらえています。確かに想定外のことが起きて、悔しくて悔しくて涙がこぼれそうな事はありますが(40歳を超えたおっさんなのに。。。)、本心では「失敗」と思っていなかったりします。今回は思ったほどうまくできなかっただけであって、次回うまくいけば全て過程になると思っています(我ながら幸せな考え方ですね)!こうやって文字にすると単なる負けず嫌いなだけな気もしてきますね...。そういえば子供のころから筋金入りの負けず嫌いだし、それも事実だと思います。

 

それはともかく!

 

新しい事をやる時には想定外の事がつきものですこの想定外の出来事が起こることを「失敗」と言うならば、新しい事をやれば「失敗」は山ほどあります。そもそも少なくとも自分にとって未知な事に挑戦をするということは未知の事を既知にしていく作業なので、未知との遭遇、つまり想定外の事との遭遇、は必然的な過程でしかありませんこれを「失敗」と呼ぶのであれば、「失敗」を重ねる事そのものが未知な事に挑戦する事になります。頭がこんがらがりますが、要は「失敗」を重ねないと新しい事はできない、ということ。だから私自身はこれを「失敗」だなんて全く思っていなくて、未知との遭遇は必要な過程であって前進している証としてとらえています。

 

その方が精神衛生上もいいですしね。恥ずかしい思いは少しするかも知れませんが、他人は自分のことをそんなに見ているわけでもないので、「失敗」したと思われてもすぐに忘れられていきます。気にしない、気にしない(一休さんのセリフですね~)。

 

この未知との遭遇の過程の最中にいる時に、往々にして他人には「失敗」とか「成果なし」と見えるようだけれど、それを気にしていたら生きていけないです。未知との遭遇の期間は長期にわたったりもするけれど、あるタイミングで一気に目に見える成果になりますその時を信じて努力するしかありません。もちろん成果に至る前に外部環境によって終了してしまうこともあるけれど、それは悔しい思いはするが仕方が無いことだとして割り切ってしまいます。

 

f:id:Gorilyn:20201229215245j:plain

仮説と検証

この失敗を重ねて試行錯誤する過程は研究に通じるものがあります。研究では、仮説を立ててたらそれを実験などを通じて検証を行います。これはまさに未知な事を既知にする作業そのものです。研究では既知になった事実を元に仮説を修正して再度検証を行うという過程を繰り返します。そしてある段階で論文化できる程度の仮説検証が蓄積されて、初めて成果として認知されることになります。

 

研究者生活を通じて感じていたのは、この仮説検証プロセスが苦手な人が結構多いということです。同級生や後輩をたくさん見て接してきましたが、短期的に目に見える成果が無いとモチベーションを維持できない人がたくさんいました(これは心理学的にもそうらしいですね)。これは性格的に研究に対する向き不向きがあるように感じています。こう言っては元も子もないけれど、どのような子供時代を過ごしたかに関係するようにも感じています。大学院に来る頃にはほぼ向き不向きが決まっていて、大学院で指導教官や同僚が一生懸命手助けしても研究に不向きな人が急に開眼するようなことは見たことがありません。指導者が支援をすれば言われたことはこなせるようになるけれど、自律的にはなかなできません。(皆さんその後は研究以外の道でご活躍していますのであくまでも研究に対する向き不向きの話です。)

 

本題に話を戻します。

 

大企業と比較してベンチャー企業では小さな失敗が許容される、というか失敗が多発しやすいというのも事実です。なぜなら社内のメンバーが限られているので大企業のように経験が蓄積されていないので、大企業では考えられないようなトホホな失敗が起こります。ベンチャー企業では「失敗が許容される」と言えばかっこいいが、要は実力的にたくさん失敗してしまう状況なんです。この「失敗」は恥ずかしいものではありますが、その恥ずかしさを受け入れても「失敗」にはそれを上回るメリットがあります。それは「失敗」から痛烈に学ぶ事救いの手を差し伸べてもらえる場合がある事の二点です。

 

「失敗」から痛烈に学ぶ事は特に説明不要だと思いますが、痛い目にあった方が、恥ずかしい目にあった方が心底学ぶ事になります。一時は恥ずかしいけれど、確実に成長します。半分意図的に「失敗」することもあるくらいです。例えば取引先相手のいる仕事の最初の方で小さな「失敗」をすると、取引先には私達が経験不十分であることが伝わります。そうすると取引先相手が仕事の内容を詳細に教えてくれたりします。本来は私達自身でお金を払って勉強しなくてはいけないような専門的内容も取引先に教えてもらってしまう事もあります。実際に仕事に関わる内容を教えてもらうので、本やセミナーで勉強するよりも実践的で確実に身に着きます。恥はかくけど得られるものは大きいです!

 

とにかく「失敗」は未然に避ける事に時間を使ってしまうよりも「失敗」しても素早く立ち直る事の方が大切。その方が使う時間に対して成長は大きいです。高校時代のラグビー部の恩師が「タックルされて倒れない事を目指すな、何度倒れてもすぐに立ち上がる事を目指せ」と言っていましたが本当に良い言葉ですね。「失敗」しない事を目指すのではなく、「失敗」してしまっても何度でも素早く立ち上がることが大切です。

 

また「失敗」のもう一つのメリットである、救いの手を差し伸べてもらえる場合がある事についてですが、これは自分達の至らない点を見て親切にも助けてくれる人達がいたりする事をさしています。これは私達ベンチャー企業側から期待するものでは全く無いですが、格好悪くてもがむしゃらに頑張っている姿を見て、「あーーこの人達は本気でプロジェクトを前に進めようと思っているんだな」と思ってくれて協力を申し出てくれる優しい方々が登場したりします。何度このような良い人達に救われてきたことか!!感謝してもしきれないです。

 

またベンチャー企業で「失敗」が許容される他の理由としては、創業したてのベンチャー企業ではそもそも失う「信用」や「ブランドイメージ」が無いからというのも大きいと思います。仮に再起不能な失敗をしても「あーーーベンチャー企業だから仕方ないよね」と思われる事が多いのではないでしょうか。つまり信用が低い。一方で大企業はブランドイメージも高く、社会的信用度が高い。だから大企業が恥ずかしい失敗をするとブランドイメージが棄損する可能性があって、ひいては既存事業を駄目にしてしまう可能性があります。だから大企業が「失敗」を嫌うのは合理的だと思います。大企業のサラリーマン取締役や執行役員が自分の保身に走っているからという理由では無いと感じます。たとえ短期的であっても企業価値を損なうことを株主がなかなか許容してくれないのではないでしょうか。

 

長くなってしまいました。。。次回は3つ目の「意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから」について書いてみます。

  

【なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのかシリーズ】 

  1. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 1 - スタートアップであっぷあっぷブログ
  2. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 2 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  3. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 3 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  4. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 4 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  5. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 5 - スタートアップであっぷあっぷブログ

 

【関連するおすすめ本】

 

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村