スタートアップであっぷあっぷブログ

元研究者のスタートアップ経営者がスタートアップでの経験やキャリアについて発信するブログ。雰囲気ゴリラ似。

博士課程の学生に生活費が支給されるニュースを聞いて

あーーー僕も大学院生の時に生活費がほしかったなぁと思うニュースがありました。大学院博士課程の学生7800人に生活費240万円が支給されるそうです。

 

日経のニュース:博士課程学生に生活費240万円 政府、7800人に支援

www.nikkei.com

 

私は大学1年生から大学院博士課程2年生までの合計8年間、日本学生支援機構(旧日本育英会)から奨学金(返済義務あり)を借りました。実に700万円の借金!

 

収入無いのに借金の額がすごいなと思いつつ、もちまえの根拠のない自信で「何とかなるさ」と思っていました。貧乏でも充実していましたからね。ただ、博士課程に進まなかった友人達が異性とお金のかかる遊びをしていたり結婚して子供が産まれたりしているのは正直うらやましかったな~。友達の結婚式でお祝儀を渡すための節約もしてましたしね(遠い目)。政府から年間240万円支給されたら、借金が増えることなく博士課程に行けてしまいますね!

 

f:id:Gorilyn:20210126165247j:plain

 

このニュースの背景としては、日本政府や大学が科学技術力維持のために博士課程の学生を増やしたいと考えているのだろうと思います。これは良く分かります。大学で研究成果を生み出すのは大学院生の働きによるところが大きいですからね。研究成果を得るために日本政府が若手研究者を一時的に雇っているような感じでしょうか

 

一方で学生の立場から見ると、 生活費の心配が減るので大学院の博士課程には行きやすくなったけど、その後のキャリアパスが描けないと博士課程に行くことに対する抵抗感は残るのではないかと思います。

 

2000年代にも博士課程の学生を増やした時期があって、その時は卒業後のポストが無くて問題になっていました。余剰博士問題と言われていたような。多いと言ったり少ないと言ったり忙しいですね。。。当時、博士余りの問題はこんな悲しい動画にされていました(実際はこんなにひどくなかったように思いますけどね)。卒業後に行方不明者がまあまあいたようです。

 

【修正版】 創作童話 博士が100人いる村

youtu.be

 

肌感覚でしかありませんが、2000年代よりも現在の方が博士課程卒業後の選択肢は多くなったように感じています。2000年代は多くの人が大学や研究所での就職を希望しましたが、現在は企業に参加したり起業に興味を持つ人も多くなったのではないでしょうか。また受け入れる側の企業も大分柔軟になったように思います。(違ったらごめんなさい)。

 

個人的には2000年当時も今も同じ考えを持っているのですが、就職先を日本国内に限定しなければ機会はたくさんあると思います。もちろん競争は熾烈なので大変ですが、それでも機会があることに違いはありません。私は卒業後にアメリカの大学で研究員になりましたが、日本国内だけに活躍の場を限定してしまうと選択肢が少なくて大変だと思います。個人的な事情がOKであれば、博士号を持っていたら海外でもそれなりに認めてもらえるわけなので、その状況をどんどん利用して海外で働くのが良いと思います。

 

私はアメリカの大学で働くことで、自分自身で自分の可能性に限界をもうけていたことに気づき、その後の生き方が変わりました。海外に出る事は辛くて大変な事も多くて良い事ばかりではないけれど、新しい価値観を体験できるのは素晴らしいと思います。一度日本を出てみると、日本のすばらしさも実感できるし、海外で働く事の抵抗感も低くなります。

 

また私もそうですが、研究者としてだけでなくビジネスマンとして生きていく道もあります。この場合も必ずしも大学院での経験は無駄にはなりません。私はスタートアップで仕事をしていますが、研究者の経験は間違いなく生きています。特に誰もやった事のない製品やサービスをつくるプロセスは研究に似ています。挑戦的な課題を設定し、仮設と検証を繰り返して課題解決を目指すプロセスは研究と同じだと思います。

 

ちなみにアメリカの状況について言いますと、以前まとめたようにMITで博士号をとった人達も研究者以外の道を選ぶ人も多くいます。研究者以外の方が待遇が良かったりしますしね。

 

MIT博士号取得者のお給料【職業別】

gorilyn.hatenablog.com

 

アメリカでは「優秀な卒業生達はスタートアップに行く」ということをよくききました。実感としてはやっぱり大学で働く人が多かったように思いましたが、日本でも同じような事が言われる時代が来るかもですね!アメリカの企業は日本企業よりももっともっと積極的に博士を求めていましたね~。

 

いずれにしても博士課程の学生に生活費が支給されるのは良いニュースだと思いました。大学院生の頃の記憶が少しよみがえってしみじみしてしまいました。確かに大学院に進学して借金は大きくなったけど、そんなの関係なく健康に楽しく人生を遅れている幸運に感謝しかありません。ラッキーです。大学院に行けたことにも感謝です!

 

今日は以上です。長文を読んで頂きましてありがとうございましたーー。