スタートアップであっぷあっぷブログ

元研究者のスタートアップ経営者がスタートアップでの経験やキャリアについて発信するブログ。雰囲気ゴリラ似。

転職した方が世の中のためになる

こんにちはー。製造系スタートアップを創業し、あっぷあっぷしながらなんとかやってるゴリリンです。元同僚から転職の相談を受けたときに私がお話したことと転職後にその元同僚が話していた感想を今日は書いてみようと思います。

 

今の会社で伸び伸びと仕事ができないなら、転職した方が仕事の成果が上がる。そうすることで世の中全体でみたら成果の総量は増加する、というお話です。

 

あなたが職場で飼い殺しをされていると感じることがあったときに、今日のお話が参考になったら嬉しいです。

 

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目次

 

転職は逃げなのか?

 相談をしてくれた元同僚はこんな人です。

  • 40歳前半
  • 日本の大企業勤務
  • 元々は研究開発部門で働くエンジニア
  • 数年前から新規事業開発を担当

 

なれない新規事業開発のお仕事も、新しいことを学びつつ前向きに取り組んでいたようですが、なかなか活躍ができない状況が続いて悶々としていたそうです。そんなときにものすごく会社の業績が悪い時期があり、自分の将来について不安を覚え「自分の市場価値ってどれくらいなのだろうか?」とふと思ったそうです。

 

そこでその元同僚はモノは試し!ということで転職エージェントに登録をして、いくつかの会社の面接を受けてみたそうです。今まで転職なんて考えていなかったのでほんの出来心だったそうです。

 

気持ちはわかりますねーー。私も自分の市場価値が気になって興味本位で転職エージェントと話してみたら1か月後には転職を決めていましたからね。

 

その元同僚が転職エージェントに登録して面接を受けてみたらなんと複数社の技術部門からオファーがもらえてしまったんだそうです!しかもその中の一つは「こんな会社で働けたらいいのにな」と思っていたある外資系企業で、本人もびっくりしてしまったと同時に転職を本気で考え始めたようです。

 

その元同僚の家族も転職に賛成をしていて、あとはいよいよ本人の決断だけという段階で私のところに相談にやってきました。私も転職経験者なので意見を聞いてみたいと思ったようです。

 

話を聞いていると元同僚本人が転職について気にかかっているところは次のようでした。

  1. 成果が出ていない今の仕事から逃げているだけではないのか
  2. また技術部門に戻るのは自分のキャリアとして問題はないのか
  3. 優秀な人達の中で自分はやっていけるのだろうか

 

気持ちはわかりますね~。真剣に考えているのがビシバシと伝わってきます。と同時に本心では転職したいと思っていることも伝わってきます。転職したいんだけど、新たな挑戦をしてみたいんだけど、でもやっぱり不安が残っているように私は感じました。

 

「成果」が出ないのは本人のせいとは限らない

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まず1つめの今の仕事から逃げているのだけでは?という疑問に対して。そもそも本気でそのような疑問を感じられる人は逃げるような人ではないと思います。逃げ癖がついている人は本心では逃げていると分かっていながら「これは逃げではない」と思いこむことが多いのではないでしょうか。言い訳の達人はくさるほど見てきましたが、私が知る限りではその元同僚はそのような人ではありませんでした。

 

そこで『「成果」が出ないのはあなたのせいとは限らない。むしろ他に要因があることがほとんど』というこんな話をしました。

 

  • 「成果」を出すというのはそもそも「何を成果と定義するのか」ということを自分の中で決めておく必要がある。(上司や他部署による定義ではなく自分なりの定義)
  • 新規事業開発部門や研究開発部門での「成果」をビジネスで会社を支えるほどの利益を出し続けるなどと設定してしまうと、気の遠くなるような期間や障壁を乗り越えなくてはいけなくなり、ほとんどの人は「成果なし」となってしまう。
  • 関わる人や部署が多数に渡るので、一部署の努力だけではどうにもならない問題が多い複数部署をまたぐ仕事はマネジメントの仕事
  • トップマネジメントが腹を括らなければ新規事業は結局ダメになる。今まで見た中では腹を括れないマネジメントがほとんどやるやる詐欺が頻発!)。

 

「何を成果と定義するのか」を上司や会社ではなく自分で決めることを不思議に感じられるかもしれません。上司や会社に評価されたらもちろんうれしいけれど、他人の評価に一喜一憂していると心が疲れてしまうので自分で決めることが大切だと思います。また上司や会社が要求する「成果」は「ビジネスでぼろ儲けしたら!」とまでは行かなくてもそれに近いものになりがちです。期間的にも無理な場合が多いのではないでしょうか。遠すぎるゴールを目指すと心が折れてしまいます。

 

あと自分が将来転職することを考えると「これが私の成果です!」と自分で自信を持って言えることが大切だと思います。「成果」そのものも大切ですが、その「成果」にいたるまでの試行錯誤や学びこそが自分のキャリアにとって大切では無いでしょうか。また自分が定義した「成果」を達成できたならそれは自信にもなります。

 

環境が変わるのなら技術に戻るのもあり

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元同僚は今配属されている新規事業部門からまた技術部門に戻ることに対して迷いを感じているようでした。せっかく経験の幅を広げようとしていたのにまた技術部門に戻ってしまって良いのだろうかと考えているようでした。

 

私は転職して環境が変わったり、同じ技術でも応用先が異なったりしてれば、新しい経験が積めるので技術部門に戻るのもありではないかとお話をしました。色んな環境があるんだと実感を持って理解したり、技術の応用先によって求められることがこんなに違うんだと実感することだけでも経験の幅は広がっていると思います。

 

私自身はこれまでに出会った人達と異なる価値観を持った人達と一緒に仕事をすることも価値があると思います。

 

社会人経験が長くなるとポテンシャルよりも経験が重視されるようになってくるように感じています。実際に私が人を採用する時も可能な限り経験者を雇いたいと考えています。横で見て知っているのと経験するのとでは業務の進み方に雲泥の差があるように思います。

 

価値観は人それぞれですが、新しい経験が得られるのは価値だと私は思います!報酬をもらいながら新たな経験が得られる仕事であれば、それはとても素晴らしいことだと思います!

 

 他人と比較せずに自分で自分を評価する

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「優秀な人達の中で自分はやっていけるだろうか」という不安はよーーーく分かります。そんな環境で働くことに対してワクワクすると同時に自分が足を引っ張ってしまわないか、周囲の期待に応えられないんじゃないか、プレッシャーで押しつぶされてしまわないか、とか心配してしまいますよね。

 

「だいたい大丈夫!(超適当)」と言ったら元同僚にうさんくさそうにみられました。。。が、本当にそう思います。

 

実際にこれまでに自分が不安になったことを振り返っても何とかなってきたことの方が多いのではないのでしょうか。例えば以下は私が実際に感じてきたことです。

 

「中に入ってみたら思ったほど優秀な人達ばかりでもなかった」

「確かに優秀な人が多かったけど、そのおかげで色々教えてもらえて自分自身がものすごくレベルアップできた」

「完璧な人はいなくて、一面ではものすごく優秀だけど、〇〇は自分の方が得意だと思う」

 

周囲の人達が優秀でも優秀でなくても、それぞれ良い事と悪い事があるのではないでしょうか。周囲がどうであれ自分にとって良い事が増えるように考え方を変えていく方が大切だと思います。周囲が優秀であれば優秀な人達からたくさん学べるし、自分の得手不得手もはっきり認識できるようになるので、いずれにせよ前進です!

 

私自身は自分が一番出来が悪い状況の方が好きですね~。できるフリをしなくても良いから楽だし、周りから学べるし良い刺激がもらえちゃうので。手本になる人も見つけられそうですしね。

 

反対に自分が一番デキる状況は(今までほとんどなかったけど)苦手ですね~。他人に教えるのがあまり得意ではないんですよね。。。(小声)

 

とにかく新しい環境に入ると周りの人達がものすごく優秀に見えがちですが、自分の能力や経験値を伸ばす良い機会だと思うので楽しんでしまうのが良いと思います!

 

飼い殺しされた状態になっていないか?

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元同僚の話をさらに聞いていると(一緒に仕事をした期間は間近で見ていましたが)、彼が好きな事、得意な事と会社が彼に求める事の間に大きなギャップができてしまっているようでした。

 

会社の方向性は変わったのに惰性で続いてしまっている研究開発プロジェクトにしばらく配属され続けるという飼い殺し状態が数年続き、いよいよ新規事業開発部門に異動になったものの、慣れない仕事のため活躍ができず悶々として悩んでいる状態のようでした。外から見ると、能力のある人なのに非常にもったいない状況に見受けられました。

 

実は私自身もその元同僚と同じ会社で働いていたときに、事業化の見込みがないプロジェクトに配属されて「飼い殺し状態」を経験しています。今振り返ってもあれは貴重な人生の時間の無駄遣いでした!

 

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それなのでその元同僚の状況に思わず同情をしてしまい、「今の会社で飼い殺しされているくらいだったら、事情が許すのであれば、必要としてくれる会社に転職した方が良いと思う。その方があなたの才能が発揮されて、それは世の中のためになる。才能がある人は才能を発揮できる場所で活躍する事がトータルで見ると世の中のためになる。と伝えました。

 

今の場所で能力を発揮できていないのであれば、世の中にとっては能力の損失が発生しています。でも場所を変えて能力を発揮できるようになれば、世の中にとってそれはプラスになります。もし今の会社で飼い殺し状態になっていると感じている人がいたとしたら、その能力を発揮できる場所に移ってもらいたいと私は思います。世の中がもっと活性化すると思います!

 

「適材適所」とはよく言われますが、一つの会社内で小さな適材適所を目指さずに、世の中全体での適材適所になったら良いのに~!と思います。

 

なぜ飼い殺し状態になるのか

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脱線してしまいますが、日本の会社でなぜ飼い殺し状態が発生してしまうのか、ということについて考えていることを少し書いてみます。

 

私の考えている結論を言うと「環境変化に応じて会社の対応も変化をしなくてはいけないけど、従業員を解雇して人を入れ替えることができず、従業員の配置転換で対応をせざるを得ないから」となります。

 

環境変化への対応を社内の従業員の配置転換で乗り切ろうとするので、業務と従業員の特性との間にミスマッチがどうしても生じます。もしくはプロジェクトを止めることが面倒だし、他にやってもらう業務がないからという理由で先の無いプロジェクトが続いたりします。こうすることで飼い殺し状態になってしまう人達が出てきてしまいます

 

従業員も成果が出せず悶々とするし、経営者も競争力が出せず悶々とします。

 

自分が経営者になってみて実感したことなのですが、日本においては正社員の解雇は本当に難しいです!本当に難しい!経営者の横暴を防ぐという意味では良いと思いますが、会社の方向転換が難しくなる側面もあります。

 

「日本の会社は変化に対応できていない」とか「欧米企業は変化に対応できている」というような意見をたまに見かけますが、これは雇用制度の違いも関係しているのではないでしょうか。

 

アメリカ企業に勤めていた時に感じたのは、解雇も制度としてあるし転職してしまう人も多いので、人の入れ替わりが激しいということです。また仕事が人についているケースが多いので、会社の方向性がコロコロと変わりました。「組織としての継続性が乏しい」とも言えますし「迅速に変化できる」とも言えます。一長一短ですね~。

 

成長している環境に身を置くことは大切

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その後その元同僚がどうしたかというと、、、結局転職をしました!

転職後しばらくしてからお話をした時に元同僚が語った印象的だった言葉は「成長している会社って勢いがあって楽しいですね!」でした。転職して良かったと感じているようです。

 

新しく採用される人も多いし、プロジェクトは前進して行くし、予算はあるし、昇進できるポストもあって、挑戦もできる、とのことで生き生きとしていました。飼い殺し状態だったころの彼とは別人のように輝いて見えました。私もその様子を見てとてもうれしく感じました!

 

 成長している環境に身をおくと、人不足の場合が多いので裁量のある仕事をどんどん任せてもらえるようになります。自分の能力以上の仕事を任される場合もあるので大変ではありますが、「立場が人を育てる」という言葉があるように今まで経験したことのない立場で仕事をすると急速に成長できると私も思います。

 

いやーーーー良かったです。

 

最後に

 長々と書いてしまいましたがまとめると

仕事で不完全燃焼感を覚えてた同僚が転職をしてハッピーになった

というお話でした。

 

今日は以上です。最後まで読んで頂きましてありがとうございましたー。

 

【参考】転職やキャリアに関するお薦め本

 元同僚にも薦めましたが、キャリアを見つめなおす際にこの2冊は良い本だと思いますのでご紹介します。就職活動中の方も既に働いている方にもとても参考になると思います。「コンサル万歳!」的な記述は正直言って嫌いですが(コンサルがどうしても好きになれないので、、、すみません)、話の主旨には大賛成です。

 

私の理解ではこの二つの本は「自分のキャリアは自分で作る」という考えが根底にあります。マーケットバリューを上げていくための考え方が紹介されていて、とても勉強になります。あと20年前に読みたかったなぁ~。