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元研究者のスタートアップ経営者がスタートアップでの経験やキャリアについての考え方を発信するブログ。雰囲気ゴリラ似。

読書メモ「『心がボロボロ』がスーッとラクになる本」水島広子

こんにちはー。製造系スタートアップを創業し、あっぷあっぷしながらなんとかやってるゴリです。今日は私の愛読書(?)のご紹介をしたいと思います!ご紹介するのは精神科医水島広子先生が書いた「『心がボロボロ』がスーッとラクになる本」です。この本には何度も何度もお世話になっています。

 

仕事でもプライベートでも精神的に辛いときってありますよね。合う合わないはあると思いますが、この本に書かれている内容を知っていると、自分の精神状態を少しでもコントロールできるようになるのではないかと思います。私自身は以前の私よりはかなりマシになったと感じています!

  

関連エントリー

gorilyn.hatenablog.com

 

私自身はどうやら考え方にクセがあるようで、何度も同じようなことで悩んでしまいます。ですので本書を読むことで考え方のクセを修正するように心がけています(無意識のうちに何度も何度もクセが出てしまうのですよね。。。)。そうすると本当に心が軽くなります!

 

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目次

 

本書の目次

こちらが本書の目次の詳細になります。本書の目次はきれいに構成されているので、目次が一番よいまとめになっていると思います。これを一通り眺めるだけでも学びがあります。

 

  1. 自分の「足りないところ」探し、していませんか?「頑張り」と「頑張りすぎ」は違う
    • 何をやってもダメと思ってしまうのはなぜ?
    • 「足りないところ」探しは心のクセ
    • 今できていないことは、今はできないこと
    • 自分の限界にはなかなか気づかないもの
    • 心をボロボロにする典型的な感じ方
    • 心と体の「取扱説明書」をよく読もう
    • ボロボロは自分を守るためのサイン
    • 「ポジティブ思考」はやめる
    • もう、自分をいじめない
  2. 「自信が持てない」ことには理由がある 「衝撃」からうまく立ち直る方法
    • 自信を失ってしまったとき、どうすればいい?
    • 「衝撃」を受けたとき、心に何が起こるか
    • 目標は「まあ、何とかなるだろう」
    • 自分を責め続けるのも「衝撃」への反応
    • 「ダメな自分」が事実をゆがめてしまう
    • かたくなになった心を和らげる方法
    • 自信とは「自分についてのよい感じ方」のこと
    • いつもの毎日をいつも通りに生きる
    • 他人の支えも心を楽にしてくれる
    • 高すぎる目標は立てない
  3. 他人からボロボロにされない「心の守り方」 「困っている人」に振り回されないコツ
    • 他人の「裏切り」によって傷つけられたら。。。
    • 「孤独感」で押しつぶされそうなときの対処法
    • ひどい上司に傷つけられない方法
    • 「こうあるべき」を通して他人を見ない
    • 職場いじめなどで居心地が悪い。。。
    • 他人に自分を否定されたとき、どうすればいい?
    • それでも問題人物とつきあわなければいけないとき
    • 会社にも「限界」がある
    • 一人では対処できないことがある
  4. 「未来への不安」を手放せば、うまくいく 絶望的な状況を乗り越えるヒント
    • 就職が決まらない不安をどうとらえるか
    • 「未来の奴隷」から解放されよう
    • 自分が何を目指せばいいかわからないとき
    • 家族に自分の時間を奪われていると感じたら。。。
    • 不本意な変化を乗り越えるコツ
    • ぐずぐず言うことで、人は前進する
    • 感情を話すことで関係が豊かになる
  5. こうすれば、「本来の自分」を取り戻せる 自分を粗末にしない考え方・生き方
    • 「ノー」と言えない自分を何とかしたい。。。
    • なぜ自分より相手を優先してしまうのだろう?
    • 「評価される対象」から「感じる主体」になろう
    • 「報われない」「評価されない」と感じるとき
    • 仕事のプレッシャーとの上手なかかわり方
    • 「何をするか」ではなく「どうあるか」
    • 追いつめられているのは誰のため?
    • 「つながり」を大切にする

 

興味のある章はありましたでしょうか?

 

きっと読む人によって興味のある章は違うのではないかと思います。私自身は何年もこの本を読み返していますが、その時々で自分の状態が異なるので読み直す章が違います。読書って面白いですね~。

 

本書のまとめ

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本書はどの章も本当にためになることが書いてあるので、こちらのブログで全てをカバーすることができませんが、ここでは私が特に感銘を受けた内容を中心にまとめてみたいと思います

 

  • 心をボロボロにするエネルギーを作り出すのは自分の頭の中

 

まずはこのことが考え方の出発点になっているように思います。自分の心をボロボロにするのは、特定の他人だったり環境のせいなのだと私は思っていたのですが、自分の考え方で自分の心がボロボロになっているというのは目から鱗が落ちる思いでした!

 

起こったできごとをどのようにとらえるか、というのは自分の頭の中で決めているから、ということです。「自分はやれることはやった。よくがんばった。」と考えられるか、「あーーー自分はなんてダメなんだ。」と考えてしまうかで精神状態は随分と変わります。

 

  • 自分の足りないところ探しは自分への虐待

 

大変なことが起きるたびに自分のどの行動が望ましくない結果を産んだのかと、私自身は自責思考で考えてきましたし、物事がうまく進んでいるときも「もっと改善できる!」と足りないところ探しを懸命にしてきました。その結果仕事の成果は上がっていたと思うのですが、心はいつも疲れていたように思います。これが原因だったのかも知れません。

 

「自責思考」は改善をはかるために大切な考え方ではありますが、自分への虐待につながらないように意識する必要がありそうです。

 

足りないところ探しは自分を否定する要素を含むので要注意ですね。自己肯定感を下げてしまう可能性があります。

 

  • 自分をいじめるのではなく癒す

 

先ほどの足りないところ探しをやめることに繋がりますが、自分で自分を労わってあげることが大切ということが書かれています。

 

自己否定ではなく、自分を肯定するのは大切ですね。心のボロボロをいやすのは、最終的には自分ですね。自分自身に「よくがんばった」、「できるだけのことはしたよね」、「できなかったことは、今はできないことだから仕方が無いよ」と自分を労わってあげることが大切だと書かれています。その通りですねー。

 

  • 「攻撃的な人」=「困っている人」

 

攻撃的な人や怒っている人は何かに困っている人。何かが期待通り、予定通りに進まないから困ってしまって結果として攻撃的になっている。浴びせている罵声は「助けて!」という悲鳴にすぎない。自分の問題を自分の問題として引き受けることができなくなってしまっている残念な人、と本書では書かれています。

 

私自身の経験を振り返ってみると、攻撃的な人は確かに本人としては困った状況になっていたように思います。攻撃的受けると思わずひるんでしまいますが、冷静になってみると攻撃的な本人は困った状況におちいっていて、感情のコントロールを失っているというのは腑におちます。確かにそんな感じがしますね。攻撃的な人は、心に余裕の無い状態だったり、人生に満足できていないように感じられる人が多かったように思います。

 

  • 自分ではコントロールできないものに幸せをゆだねてしまうと運命の奴隷になってしまう。

 

他人の評価などの自分ではコントロールできないもので自分の価値を判断しない、ということが本書で書かれていました。就職できなかった、失恋した、など衝撃的なことではあるけれど、それによって自分の価値は損なわれないということでした。これもその通りですね。

 

自分を労わりつつ、自分がコントロールできる範囲に意識を集中させることが大切だ、ということを私は学びました。

  

さいごに

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いかがでしたでしょうか。本書はいろんなケースを想定して書かれていますので、もし興味のある方は是非こちらの本を読んでみることをお薦め致します

 

私自身は、自分で自分を癒してあげることや攻撃的な人は困っている人である、というのは自分にとって大きな気づきになりました。私は自分で自分を追い詰めがちですが、意識的に自分を癒してあげるように心がけています。そうすると他人にも優しくなれる気がします。


 今日は以上です。ありがとうございましたー。

 

関連するお薦め本

厚い本なので好みが別れると思いますが、デビット・バーンズさんが書いた「いやな気分よ、さようなら」もとてもお薦めです。知り合いの臨床心理士さんから薦められて読んだところ色んな疑問が解消されました。こちらの本は「なぜ自分はこんなつらい気持ちになるのか」、「なぜ○○さんはこんな対応をし続けるのか」などの疑問にとてもよく答えてくれる本だと思います。

 

 

起業家は心を病みやすい⁈

こんにちはー。製造系スタートアップを創業し、あっぷあっぷしながらなんとかやってるゴリリンです。今日は起業家のメンタルヘルスについて書いてみたいと思います。

 

起業家は自信満々に見えるけど、実は起業家で無い人達と比べると心を病みやすいというデータがある、というお話です。

 

みなさんは起業家にどんなイメージをお持ちでしょうか?

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  • 自信にあふれている
  • とびぬけた才能がある
  • リスクを恐れない

 

こんなイメージがありませんでしょうか。スティーブ・ジョブズさん、イーロン・マスクさん、孫正義さんなどなど、メディアで目にする大成功した起業家の皆さんは自信にあふれていて、とびぬけた才能があって、リスクを取ってきた人達だというイメージがあります。

 

一方で自分で実際に起業してみると、自分は全くそんな感じではありません(えへん!)。これで良いのだろうか、、、といつも迷いがあるし、自分にできることはとても限られているし、失敗はやっぱり怖いです。上に書いた起業家のイメージとはみごとに正反対です。自分には向いていないのではないだろうかなんて考えもよぎります。

 

ただ誰かと会ったり話したりするときは自信にあふれていて、才能があって、リスクを恐れていないように演じているつもりです。駄目さがにじみでちゃっていますが、一応演じています。

 

自分達を信じてくれている顧客、自分達の将来を信じて投資してくれている投資家、自分を信じて一緒に働いてくれている社員や協力企業、そういった人達を不安にさせたくないから自信も才能もあってリスクがあっても挑戦するように見せようとしています。起業家自身が自分のやっている事に疑問を持っていると思われてしまうと事業が回らなくなってしまうのではないかと恐れているからです。

 

本来のダメダメな自分をさらけ出せないんですよね。。。

 

これは自分だけなのかなと思っていましたが、会社を上場させた旧友と話していたら、なんとその友達も同じようなことを言っていました。「メディアなどで見せている姿は見せたいように演出しているだけ。実際には会社が潰れそうなときもあったけどそんなこと社員や周囲の人達に言えない。人に見せられない苦労をしている。」会社を上場までさせて成功している彼も同じような感覚を持っていることを知って、驚いたと同時に「自分だけでは無いんだ」と少しホッとしました。

 

その後何人かの起業した人達に話をしてみると、その人達も「実はさぁ...」と他人に言えない悩みを持っていることを教えてくれました。やっぱり似た悩みがあるのですね。同時に「孤独だ」と言う人が多くいました。私も起業してから一番辛さを感じるのはこの孤独感です。会社の調子が良ければ人が寄ってきますが、調子が悪いと見るや否や人は去って行ってしまいます。私の場合は、悩みを共有できる人がいないというのが孤独感に繋がっているように思います。ついつい一人で悩みを抱え込んでしまうんですよね。。。

 

そんな時に「Why Entrepreneurs Need to Talk About Their Mental Health」というForbesの記事を見つけました。

 

www.forbes.com

 

この記事によると起業家のうち72%の人達がメンタルヘルスの問題を抱えているそうです。多いなぁ~~。非起業家の場合は48%がメンタルヘルスの問題を抱えているらしいので、非起業家と比べると起業家は24%も心を病みやすいという結果になります。うわぁーーー多い!.....でもなんか分かる気がする。

 

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 この記事が引用しているのはフリーマン教授(カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校)の調査結果で、原文はこちらになります。

 

Are Entrepreneurs “Touched with Fire”?

Michael A. Freeman, M.D. (University of California San Francisco) et al.

https://michaelafreemanmd.com/Research_files/Are%20Entrepreneurs%20Touched%20with%20Fire-summary.pdf

 

Forbesの記事の筆者は連続起業家(シリアルアントレプレナー)のようですが、彼も記事中で孤独感の取り扱いが大変だと述べています。日本だけでなくアメリカでも起業家は孤独感と戦っているのですね。環境が違っていても共通しているように思います。

 

私自身の少ない経験で言うと、起業して何が一番大変かと言ったら「心の健康を保つこと」です。悩みの半分は心の状態を健康に保つことだと感じています。

 

その時々でそれぞれ仕事の悩みがありますが、それらは一つずつ結論がついていきます。でも心の状態のコントロールだけはずーーーっと変わらずに苦労し続けています。

 

不確実な環境下で次々と経営判断を下して行動し続けていくのは、確かにワクワクすることではありますが、知らないうちに心理的に大きな負荷がかかります。また孤独感が加わるときつくなります。ですので意識的に心と身体をリフレッシュしないともちません。

 

実は起業して一番の愛読書は経営の本でも自己啓発書でもなく、メンタルを健康に保つための本だったりします。繰り返し繰り返し読んで心を落ち着かせています(いつかそちらの本をご紹介しようと思います)。

 

起業された方やこれから起業しようという方は、ぜひとも心の健康にはお気をつけ下さい。他の起業家の人達に悩みを打ち明けるだけでも心は軽くなると思います!

 

今日は以上です。ありがとうございましたー。

転職した方が世の中のためになる

こんにちはー。製造系スタートアップを創業し、あっぷあっぷしながらなんとかやってるゴリリンです。元同僚から転職の相談を受けたときに私がお話したことと転職後にその元同僚が話していた感想を今日は書いてみようと思います。

 

今の会社で伸び伸びと仕事ができないなら、転職した方が仕事の成果が上がる。そうすることで世の中全体でみたら成果の総量は増加する、というお話です。

 

あなたが職場で飼い殺しをされていると感じることがあったときに、今日のお話が参考になったら嬉しいです。

 

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目次

 

転職は逃げなのか?

 相談をしてくれた元同僚はこんな人です。

  • 40歳前半
  • 日本の大企業勤務
  • 元々は研究開発部門で働くエンジニア
  • 数年前から新規事業開発を担当

 

なれない新規事業開発のお仕事も、新しいことを学びつつ前向きに取り組んでいたようですが、なかなか活躍ができない状況が続いて悶々としていたそうです。そんなときにものすごく会社の業績が悪い時期があり、自分の将来について不安を覚え「自分の市場価値ってどれくらいなのだろうか?」とふと思ったそうです。

 

そこでその元同僚はモノは試し!ということで転職エージェントに登録をして、いくつかの会社の面接を受けてみたそうです。今まで転職なんて考えていなかったのでほんの出来心だったそうです。

 

気持ちはわかりますねーー。私も自分の市場価値が気になって興味本位で転職エージェントと話してみたら1か月後には転職を決めていましたからね。

 

その元同僚が転職エージェントに登録して面接を受けてみたらなんと複数社の技術部門からオファーがもらえてしまったんだそうです!しかもその中の一つは「こんな会社で働けたらいいのにな」と思っていたある外資系企業で、本人もびっくりしてしまったと同時に転職を本気で考え始めたようです。

 

その元同僚の家族も転職に賛成をしていて、あとはいよいよ本人の決断だけという段階で私のところに相談にやってきました。私も転職経験者なので意見を聞いてみたいと思ったようです。

 

話を聞いていると元同僚本人が転職について気にかかっているところは次のようでした。

  1. 成果が出ていない今の仕事から逃げているだけではないのか
  2. また技術部門に戻るのは自分のキャリアとして問題はないのか
  3. 優秀な人達の中で自分はやっていけるのだろうか

 

気持ちはわかりますね~。真剣に考えているのがビシバシと伝わってきます。と同時に本心では転職したいと思っていることも伝わってきます。転職したいんだけど、新たな挑戦をしてみたいんだけど、でもやっぱり不安が残っているように私は感じました。

 

「成果」が出ないのは本人のせいとは限らない

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まず1つめの今の仕事から逃げているのだけでは?という疑問に対して。そもそも本気でそのような疑問を感じられる人は逃げるような人ではないと思います。逃げ癖がついている人は本心では逃げていると分かっていながら「これは逃げではない」と思いこむことが多いのではないでしょうか。言い訳の達人はくさるほど見てきましたが、私が知る限りではその元同僚はそのような人ではありませんでした。

 

そこで『「成果」が出ないのはあなたのせいとは限らない。むしろ他に要因があることがほとんど』というこんな話をしました。

 

  • 「成果」を出すというのはそもそも「何を成果と定義するのか」ということを自分の中で決めておく必要がある。(上司や他部署による定義ではなく自分なりの定義)
  • 新規事業開発部門や研究開発部門での「成果」をビジネスで会社を支えるほどの利益を出し続けるなどと設定してしまうと、気の遠くなるような期間や障壁を乗り越えなくてはいけなくなり、ほとんどの人は「成果なし」となってしまう。
  • 関わる人や部署が多数に渡るので、一部署の努力だけではどうにもならない問題が多い複数部署をまたぐ仕事はマネジメントの仕事
  • トップマネジメントが腹を括らなければ新規事業は結局ダメになる。今まで見た中では腹を括れないマネジメントがほとんどやるやる詐欺が頻発!)。

 

「何を成果と定義するのか」を上司や会社ではなく自分で決めることを不思議に感じられるかもしれません。上司や会社に評価されたらもちろんうれしいけれど、他人の評価に一喜一憂していると心が疲れてしまうので自分で決めることが大切だと思います。また上司や会社が要求する「成果」は「ビジネスでぼろ儲けしたら!」とまでは行かなくてもそれに近いものになりがちです。期間的にも無理な場合が多いのではないでしょうか。遠すぎるゴールを目指すと心が折れてしまいます。

 

あと自分が将来転職することを考えると「これが私の成果です!」と自分で自信を持って言えることが大切だと思います。「成果」そのものも大切ですが、その「成果」にいたるまでの試行錯誤や学びこそが自分のキャリアにとって大切では無いでしょうか。また自分が定義した「成果」を達成できたならそれは自信にもなります。

 

環境が変わるのなら技術に戻るのもあり

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元同僚は今配属されている新規事業部門からまた技術部門に戻ることに対して迷いを感じているようでした。せっかく経験の幅を広げようとしていたのにまた技術部門に戻ってしまって良いのだろうかと考えているようでした。

 

私は転職して環境が変わったり、同じ技術でも応用先が異なったりしてれば、新しい経験が積めるので技術部門に戻るのもありではないかとお話をしました。色んな環境があるんだと実感を持って理解したり、技術の応用先によって求められることがこんなに違うんだと実感することだけでも経験の幅は広がっていると思います。

 

私自身はこれまでに出会った人達と異なる価値観を持った人達と一緒に仕事をすることも価値があると思います。

 

社会人経験が長くなるとポテンシャルよりも経験が重視されるようになってくるように感じています。実際に私が人を採用する時も可能な限り経験者を雇いたいと考えています。横で見て知っているのと経験するのとでは業務の進み方に雲泥の差があるように思います。

 

価値観は人それぞれですが、新しい経験が得られるのは価値だと私は思います!報酬をもらいながら新たな経験が得られる仕事であれば、それはとても素晴らしいことだと思います!

 

 他人と比較せずに自分で自分を評価する

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「優秀な人達の中で自分はやっていけるだろうか」という不安はよーーーく分かります。そんな環境で働くことに対してワクワクすると同時に自分が足を引っ張ってしまわないか、周囲の期待に応えられないんじゃないか、プレッシャーで押しつぶされてしまわないか、とか心配してしまいますよね。

 

「だいたい大丈夫!(超適当)」と言ったら元同僚にうさんくさそうにみられました。。。が、本当にそう思います。

 

実際にこれまでに自分が不安になったことを振り返っても何とかなってきたことの方が多いのではないのでしょうか。例えば以下は私が実際に感じてきたことです。

 

「中に入ってみたら思ったほど優秀な人達ばかりでもなかった」

「確かに優秀な人が多かったけど、そのおかげで色々教えてもらえて自分自身がものすごくレベルアップできた」

「完璧な人はいなくて、一面ではものすごく優秀だけど、〇〇は自分の方が得意だと思う」

 

周囲の人達が優秀でも優秀でなくても、それぞれ良い事と悪い事があるのではないでしょうか。周囲がどうであれ自分にとって良い事が増えるように考え方を変えていく方が大切だと思います。周囲が優秀であれば優秀な人達からたくさん学べるし、自分の得手不得手もはっきり認識できるようになるので、いずれにせよ前進です!

 

私自身は自分が一番出来が悪い状況の方が好きですね~。できるフリをしなくても良いから楽だし、周りから学べるし良い刺激がもらえちゃうので。手本になる人も見つけられそうですしね。

 

反対に自分が一番デキる状況は(今までほとんどなかったけど)苦手ですね~。他人に教えるのがあまり得意ではないんですよね。。。(小声)

 

とにかく新しい環境に入ると周りの人達がものすごく優秀に見えがちですが、自分の能力や経験値を伸ばす良い機会だと思うので楽しんでしまうのが良いと思います!

 

飼い殺しされた状態になっていないか?

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元同僚の話をさらに聞いていると(一緒に仕事をした期間は間近で見ていましたが)、彼が好きな事、得意な事と会社が彼に求める事の間に大きなギャップができてしまっているようでした。

 

会社の方向性は変わったのに惰性で続いてしまっている研究開発プロジェクトにしばらく配属され続けるという飼い殺し状態が数年続き、いよいよ新規事業開発部門に異動になったものの、慣れない仕事のため活躍ができず悶々として悩んでいる状態のようでした。外から見ると、能力のある人なのに非常にもったいない状況に見受けられました。

 

実は私自身もその元同僚と同じ会社で働いていたときに、事業化の見込みがないプロジェクトに配属されて「飼い殺し状態」を経験しています。今振り返ってもあれは貴重な人生の時間の無駄遣いでした!

 

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それなのでその元同僚の状況に思わず同情をしてしまい、「今の会社で飼い殺しされているくらいだったら、事情が許すのであれば、必要としてくれる会社に転職した方が良いと思う。その方があなたの才能が発揮されて、それは世の中のためになる。才能がある人は才能を発揮できる場所で活躍する事がトータルで見ると世の中のためになる。と伝えました。

 

今の場所で能力を発揮できていないのであれば、世の中にとっては能力の損失が発生しています。でも場所を変えて能力を発揮できるようになれば、世の中にとってそれはプラスになります。もし今の会社で飼い殺し状態になっていると感じている人がいたとしたら、その能力を発揮できる場所に移ってもらいたいと私は思います。世の中がもっと活性化すると思います!

 

「適材適所」とはよく言われますが、一つの会社内で小さな適材適所を目指さずに、世の中全体での適材適所になったら良いのに~!と思います。

 

なぜ飼い殺し状態になるのか

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脱線してしまいますが、日本の会社でなぜ飼い殺し状態が発生してしまうのか、ということについて考えていることを少し書いてみます。

 

私の考えている結論を言うと「環境変化に応じて会社の対応も変化をしなくてはいけないけど、従業員を解雇して人を入れ替えることができず、従業員の配置転換で対応をせざるを得ないから」となります。

 

環境変化への対応を社内の従業員の配置転換で乗り切ろうとするので、業務と従業員の特性との間にミスマッチがどうしても生じます。もしくはプロジェクトを止めることが面倒だし、他にやってもらう業務がないからという理由で先の無いプロジェクトが続いたりします。こうすることで飼い殺し状態になってしまう人達が出てきてしまいます

 

従業員も成果が出せず悶々とするし、経営者も競争力が出せず悶々とします。

 

自分が経営者になってみて実感したことなのですが、日本においては正社員の解雇は本当に難しいです!本当に難しい!経営者の横暴を防ぐという意味では良いと思いますが、会社の方向転換が難しくなる側面もあります。

 

「日本の会社は変化に対応できていない」とか「欧米企業は変化に対応できている」というような意見をたまに見かけますが、これは雇用制度の違いも関係しているのではないでしょうか。

 

アメリカ企業に勤めていた時に感じたのは、解雇も制度としてあるし転職してしまう人も多いので、人の入れ替わりが激しいということです。また仕事が人についているケースが多いので、会社の方向性がコロコロと変わりました。「組織としての継続性が乏しい」とも言えますし「迅速に変化できる」とも言えます。一長一短ですね~。

 

成長している環境に身を置くことは大切

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その後その元同僚がどうしたかというと、、、結局転職をしました!

転職後しばらくしてからお話をした時に元同僚が語った印象的だった言葉は「成長している会社って勢いがあって楽しいですね!」でした。転職して良かったと感じているようです。

 

新しく採用される人も多いし、プロジェクトは前進して行くし、予算はあるし、昇進できるポストもあって、挑戦もできる、とのことで生き生きとしていました。飼い殺し状態だったころの彼とは別人のように輝いて見えました。私もその様子を見てとてもうれしく感じました!

 

 成長している環境に身をおくと、人不足の場合が多いので裁量のある仕事をどんどん任せてもらえるようになります。自分の能力以上の仕事を任される場合もあるので大変ではありますが、「立場が人を育てる」という言葉があるように今まで経験したことのない立場で仕事をすると急速に成長できると私も思います。

 

いやーーーー良かったです。

 

最後に

 長々と書いてしまいましたがまとめると

仕事で不完全燃焼感を覚えてた同僚が転職をしてハッピーになった

というお話でした。

 

今日は以上です。最後まで読んで頂きましてありがとうございましたー。

 

【参考】転職やキャリアに関するお薦め本

 元同僚にも薦めましたが、キャリアを見つめなおす際にこの2冊は良い本だと思いますのでご紹介します。就職活動中の方も既に働いている方にもとても参考になると思います。「コンサル万歳!」的な記述は正直言って嫌いですが(コンサルがどうしても好きになれないので、、、すみません)、話の主旨には大賛成です。

 

私の理解ではこの二つの本は「自分のキャリアは自分で作る」という考えが根底にあります。マーケットバリューを上げていくための考え方が紹介されていて、とても勉強になります。あと20年前に読みたかったなぁ~。

 

 

中リスク中リターンなスタートアップの戦略でもいいんじゃない?

こんにちはー。製造系スタートアップを創業し、あっぷあっぷしながらなんとかやってるゴリリンです。しばらく時間があいてしまいましたが、今日は起業について考えていることを書いてみたいと思います。

 

地味〜な中リスク、中リターンな戦略もありではないだろうか、というお話です。

 

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目次

 

起業の本に書いてあること

私の会社は新規上場(IPO, Initial Public Offering)を目的とせず、買収されること(M&A, Mergers and Acquisitions)を目標として設立しました。うまくいけばそろそろM&Aが起きる段階なので次の起業ネタを探しつつ、起業の勉強を始めています。

 

「えええっ?もう起業もしてるしその会社を売却する段階なのに今頃起業の勉強してるの?」という声が聞こえてきそうですね。えぇ、そうです、遅いですとも!!自慢することではありませんが私も遅いと思います!

 

でも自分でやってみないと本やお話を聞いてもよく理解できないんですよね~。実験をしてみてはじめて教科書に書いてあることが理解できる感じです。もっと効率よくできたらいいのになぁと自分でも思いますが、これが自分なのであきらめています。私の場合はやってみてから勉強をした方が理解度が断然あがります。

 

ともかく、起業について勉強を始めてみるとわかったことがあります。めちゃくちゃいい情報がきちんと公開されているではありませんか!!こんな素晴らしい情報が世の中に公開されているなんて素敵ですね~~。知らなかったなぁ~。いかに自分の目がふしあななのか再確認してしまいました。

 

中でもこちらの田所さんの本「起業の科学」は読み物としても素晴らしいと思いました。田所さんの本では「スタートアップ」と「スモールビジネス」を区別されていて、特にスタートアップについて記載がされています。両者の区別については「起業の科学」をご参照頂きたいですが、私の場合は「スタートアップ」と「スモールビジネス」の中間にあたるように思いますが「スタートアップより」だと思います。

 

自分の会社を振り返りながら読み進めていくと、ページをめくるたびに「自分のスタートアップはやっちゃいけないことをたくさんやっている!」と変な汗が出てきます。もう取り返しがつかないことだらけ...。やばい。

 

 

田所さんの本に限らずスタートアップに関する本や記事を読むと「スタートアップは新しい市場を作るもの」とか「世界を変えることを目指すべき」ということが繰り返し述べられています。これが私は全くできていないです(汗)!「誰も気づいていない市場をつくる」とか、できたらかっこいいけどなぁ。自分では全然できていません。ページをめくるたびに「うわぁーーーやっちゃった!スタートアップってそんなにくそ真面目にやらなくちゃいけなかったんだー」と社員には聞かれたくない心の声が出てしまいます。

 

その一方で「うーーーん、そんなケースばかりではないんじゃないかぁ」と違和感をもつ部分もあったりします。それは「アマゾンやテスラほどの大大大成功を必ずしも目指さなくてもいいのではないか」という感覚です。「スタートアップの成功といえばIPO!」というような考えがこれらの本や記事の背景にあるようになんとなく感じます。つまり、スタートアップ自身が大企業に成長するストーリーについて書かれているように思います。

 

私達の会社は買収されることを創業当初から目標としていますが、この場合は「新しい市場を作る」とか「世界を変える」ことを必ずしも目指さなくて良いのではないかと考えています。前置きが長くなりましたが今日はこのことについて書きたいと思います。

 

私のスタートアップの場合

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私達の会社が創業当初から買収されることを目指す理由は、私達は私達が得意な開発に特化して、開発が終われば製造や販売が得意な会社にバトンタッチしたいと考えているからです。これはシリコンバレーの技術系企業では割と多いパターンで、成功すればそれなりのリターンもあります。

 

私達の会社の状況を振り返ると次のような特徴があります。

  • 大きな既存市場がターゲット(大手企業が活躍する市場)
  • 先行する製品があるけれどどれも完璧ではない。
  • 特殊技術を必要とするため類似製品を持っている大手のプレーヤーが少ない。

 

既存市場をターゲットにしているので「新しい市場を作る」ようなものではありません。様々な書籍に書かれているようなスタートアップの教科書的にはダメな例に当たります。しかも大手企業も活躍する市場です。これは田所さんの本でも「ゴリリン、アウト~~」って言われてしまう状態です。

 

更に私達が開発している製品と類似の製品が既に市場に出ています。だから私達の製品で「世界が変わる」という事もありません。これも田所さんの本で「ゴリリン、アウト~」と言われてしまうと思います。

 

ただ先行する製品がどれも完璧ではないので、私達の製品を使うことでユーザーにとってはもっともっと便利にはなります。またその製品には特殊技術が要求されるので類似製品を持っている大手のプレーヤーが少ない状態です。

 

つまり大手企業がひしめく既存市場で需要はあるものの供給が足りていない製品を提供するということを私達の会社ではやっています。

 

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市場もあって、ニーズもあって、買収してくれそうな大企業候補が複数あって、足りないのは技術だけ、という状況で私達がその技術を提供するという構図です(と私は思っています)。足りていない「技術」というパズルのピースを埋めている感じです。これが私達のスタートアップの価値だと考えています。

 

スタートアップが大企業との競合を避けることは必要だけど、避け方は色々ありえると思います。今回は多くの大企業では持ち合わせていない特殊技術を私達のスタートアップが持っていることが直接の競合を避ける要因になっていると思います。私達にとっては残念ですが、全てを持ち合わせた大企業も実際にはあります(涙)。でも持ち合わせてない大企業が断然多いという状況でした。完全に競合を避けているわけではないけれど、だいたいは避けているというグレーな感じです。

 

私達のスタートアップの状況を分析するとこんな感じですが、創業当時はこんなこと考えていませんでした(自慢気)!色々試行錯誤しながら仕事をしてきて、最近になって読んだ起業に関する本に書いてあることと自分がやってきたことが違うように感じるので、ブログを通じて言語化してみたらこんな感じになったというものです。後付けです。

 

中リスク中リターンなスタートアップの戦略

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田所さんの本に書いてあるような新しい市場を作ったり、世界を変えるようなことを目指すスタートアップは成功確率が低い反面当たれば大きい「ハイリスク・ハイリターン」な戦略をとっていると言って良いのではないでしょうか。

 

一方、私達の会社の戦略はもっと中途半端な「中リスク・中リターン」な戦略と言って良いと思います。大企業に買収されることを目標にしたこのような中リスク・中リターンな戦略があっても良いのではないでしょうか。

 

抽象化があまりうまくはないですが、こんな感じです。

  • すでに市場がある
  • その市場では買収してくれそうな大企業がしのぎを削っている
  • ニーズがあることは知られている
  • 先行製品やサービスはすでにある
  • ユーザーのニーズが完全には満たされていない
  • 足りていないピースを自社が埋められる

 

このような戦略のスタートアップは爆発的な成長はしないけれど、ベンチャーキャピタルも満足するそこそこのリターンをもたらすことができるように思います

 

新しい市場を作ることを目指すよりは、すでに市場がある分リスクは低くなると思います。しかも大企業が活躍する市場であれば市場規模も十分大きく、ゆくゆく自分達を買収してくれそうな大企業候補が存在するということです。またすでにあるニーズに対して取り組むので、ニーズを掘り起こすようなプロジェクトよりもリスクは低くなります。

 

まさに中リスク・中リターンです。当事者ではない人から見ると華々しくはないし面白みも少ないかもしれないけれど、実際にやる当事者にとっては比較的取り組みやすいのではないでしょうか

 

最後に

自分自身で体験したことと本に書いてあることを見比べてみると、自分では気づいていなかった視点や改善点が見つかってとても刺激的です。当たり前だけど、プロジェクトの数だけやり方はありますね~。面白いです!自分にあった情報を取捨選択するという意味でも、実際に自分でやりながら本を参考にするのが良いなぁと感じています。

 

私達のスタートアップの戦略は中リスク・中リターンなものでしたが、繰り返しですがこれは完全に後付けです。最初に戦略をたてて実行したのではなく、やりながら自分達で状況を分析し、戦略を変えながら、解決方法を探り、実行を繰り返していたらこうなりました。状況は時々刻々と変わるし、自分の行動によっても状況は変わっていくので、状況の分析はほどほどにして行動を起こしていくことは大切だと実感しています。

 

ハイリスク・ハイリターン、中リスク・中リターン、ローリスク・ローリターンなど色んな戦略があって自分達にあった戦略をとることになりますが、スタートアップはハイリスク・ハイリターンという王道な考えのほかにも、私達のような中リスク・中リターンという地味~な戦略もあります、というお話でした。

 

今日は以上です。最後まで読んで頂きましてありがとうございましたー。

開発前の特許スクリーニングは超重要

こんにちは。梅の花が咲く季節になりましたね。

 

ここ最近のできごとになりますが、私達のスタートアップがある企業から企業価値評価を受けています。恥ずかしいような緊張するようなとても変な感覚がします。例えると、身ぐるみはがされてジロジロ下から上までなめまわすように見られている感覚です。変な例えですみません(汗)。でもまさにそんな感じです。社外には絶対出さない情報まで見せなくてはいけないんですよね、少なくとも私達は。そんなところまで見られたら恥ずかしい!という気持ちです。私達は買収されるExitを目的としているので、喜ばないといけない状況ですが、正直言っていい気持ちはしないです...。

 

今日はその企業価値評価の中で気づいた、というか再確認した、ことを書きたいと思います。それはスタートアップであっても開発前の特許スクリーニングは重要!というお話です。

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目次

 

高く評価された5つのこと

企業価値評価のときに高く評価された(と思われる)点が5つありました。それがこちらです。

  1. 開発前に特許スクリーニングを実施していたこと
  2. 他社の特許回避対策を行っていたこと
  3. 他機関へのライセンス料の支払いが不要なこと
  4. 出願した全特許が自社単独出願だったこと
  5. 開発委託先との契約で、開発中に発生したノウハウ、発明が全て自社に帰属することを取り決めていたこと

 

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1. 開発前の特許スクリーニング

これはある製品を開発しようとした際に、まず世の中にある特許がどのようなものであるかを幅広く調査し、懸案となる特許を抽出する作業になります。

 

やったことがあるエンジニアならよくわかると思いますが、これはかなり大変な作業です。平気で1, 2か月かかってしまいます。この作業は大企業では開発プロジェクトが始まる前に必ず実施されているのではないでしょうか。この特許スクリーニングがあって初めて2の「他社の特許回避対策を行っていたこと」、3の「他社や研究機関へのライセンス料の支払いが不要なこと」が可能になります。製品化を目指した開発では最初に行うことです。

 

わざわざここに挙げたのには実は理由があります。

 

スタートアップで働き始めてからお付き合いする会社が変わって、それで初めて気づいたことがあります。それは特許スクリーニングをせずに開発を始めてしまう会社さんが結構あるということです。

 

そういう会社さんではどうしているかというと、開発を終えてから製品そのものに関する特許を出願して、それが認められれば開発製品には特許侵害はないということで商売を始めるというものです。開発前の特許スクリーニングは時間と労力がかかるものなので、こうすることで手っ取り早く製品ができる、と考えているようです。

 

さらに驚いたのは、特許侵害調査も特許出願もしない会社さんも見受けられることです。それらの会社さんが自分達だけで閉じてビジネスをされる限りは私達に影響はありませんが、私達がそういう会社さんに開発を委託するとなると後々大問題になります。これは要注意です

 

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私達が開発の一部を委託する会社さんは中小企業さんが多いのですが、会社の規模が小さいと特許侵害があっても他社から訴えられることはほとんどありません。それは小さい会社が特許侵害していても、特許権利者の受ける被害は微々たるものだし、訴訟で勝っても得られるお金が少ないからです。特に訴える方が大企業だった場合、中小企業を訴えると弱いものいじめに見えてしまうので企業イメージを考えて訴えない大企業も多いようです

 

しかしながら私達のように大企業による買収を目標Exitにしているスタートアップではその考えはまずいです。なぜなら上で書いたとおり、スタートアップのような小さな会社が特許侵害をしていたとしても他社から訴えられることはまれですが、そのスタートアップがある大企業に買収された途端に状況は変わり、訴えられるリスクが急に大きくなるからです。元はスタートアップが開発した製品であっても大企業相手であれば特許侵害訴訟を起こされてしまいますだから大企業側もスタートアップを買収する際には特許抵触については念入りに調査することになります。

 

だから企業価値評価の際には出願した特許のことを根掘り葉掘り調査されます。いやーーーー、まさか公開前の特許の明細書まで見せなきゃいけなくなるなんて思ってもいませんでした。パワーバランス的に買収する側が強いんですよね、抵抗しきれませんでした。あーーー悲しい(涙)。

 

2. 他社特許の回避対策

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特許スクリーニングの結果、だいたいは回避しなくてはいけない懸案特許がいくつか見つかります。回避できるものは回避して開発するし、回避が難しいものはその特許の無効化を考えることになります。特許の無効化とは、その特許の内容がおおやけに知られたものであることを証明することを指します。簡単に言えばその特許の出願前に同じアイデアが公開されていたということを示すことです。

 

私達の場合はあるアメリカの研究機関の特許が懸案になりました。基本特許に近いもので回避が難しいものでした。その研究機関のリーダーは某大学の教授も兼任していたので、私達はその大学の学生達の卒業論文をくまなく調査しました。そうしたところ特許出願前にある学生が特許と同じ内容の修士論文を発表していて、しかもそれが一般に公開されていることをつきとめました弁理士さんと相談し、これなら訴訟になっても無効化できそうだ、という結論になりました。いやーーー、学生さんは論文を出さないと卒業できませんからね、特許出願を待たずに論文を公開してしまったのですね。私達にとってはラッキーでしたが、このように特許の無効化を図りました。

 

弁理士さんから「見解書」という意見書をもらっておいたのも企業価値評価をおこなっている大企業には安心材料になったようです。

 

この特許回避が事前に図られていることで、大企業はスタートアップを買収しても訴えられるリスクを下げられることができます。訴訟リスクがあるとそのスタートアップの企業価値は低く見積もられます。

 

3. ライセンス料の支払いが不要

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先ほどの特許回避の際に特許の無効化ができなかった場合、その特許を持っている権利者にライセンス料を支払うことになります。これがまた高額なんですよね~。特許回避がきちんとできていればライセンス料の支払いは必要ありません。

 

回避できない特許の権利者が競合他社だった場合は、おそらく費用を払ってもその特許の使用を許可されない、もしくはビジネスが成り立たないほどのライセンス料を要求されることになります。(クロスライセンスという手段もありますが、スタートアップではとることが難しい戦略です。)

 

また特許使用以外にも、研究機関から技術提供を受けた際にもライセンス料の支払いが発生します。特に相手がアメリカの研究機関や大学の場合、ライセンス料は高額になります。私達は自分達で開発をしたのでこのようなライセンス料の支払いは発生しませんが、最先端技術を大学などから取り入れて開発しないといけない場合は要注意です。後々の企業価値評価に影響があります。

 

ライセンス料の支払いが必要な場合もビジネス的に不利になるので企業価値は低くなります。

 

4. 出願した全特許が自社単独出願

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出願した特許の中に他社や他機関との共同出願が含まれると、大企業には要注意ポイントとしてみられます。共同出願が含まれると権利関係が複雑になることと、それに伴うライセンス料支払いの可能性が生じることがその原因です。

 

共同出願者がいた場合、その特許を使用したりさらに他社に使用を許可したりする場合に毎回共同出願者と協議を行う必要があるのでとても面倒になります。その共同出願者との関係がよければ良いですが、時間が経つと仲が悪くなることも大いにありえます。(お付き合いしだしたときはラブラブでも、数年後に険悪になることもたくさんありますよね!)場合によってはライセンス料の支払いが発生することもありえます。

 

5. 開発中に発生したノウハウ、発明が全て自社に帰属することを取り決めた契約

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これは開発開始前の委託先との協議がなかなか難航するポイントです。開発委託をして、その開発の過程で産まれたアイデアやノウハウ(知的財産といいます)の所有権が私達の会社のものになるというものです。私が逆に開発委託を受ける立場でもこの内容には抵抗しますから、契約締結作業が難航するのもよーーくわかります。

 

これは大変ですが知的財産は製造系スタートアップの企業価値そのものなので開発開始時点で十分に協議を行って落としどころを探ることが大切です。私達のスタートアップを買収したは良いものの、ノウハウが全て開発委託先にあって、開発委託先のノウハウが使えなければ製品が作れなくなってしまうのは大企業にとってはリスクです。 

 

実際私達のスタートアップの企業価値評価をしている大企業は、この点を高く評価しています。また大企業としてはそのスタートアップの製品そのものもそうですが、大企業内での他領域への技術転用も視野に入れることもあります。なのでその大企業にとって転用可能性のあるアイデアやノウハウは多いほど喜ばれます。つまり企業価値が高く評価されます。

 

ただ正直言って、開発委託先からノウハウが全て開発元の私達に公開されているかというとそんなことはないと思います。開発委託先の会社内でノウハウとして蓄積されているのではないかと思います。彼らは「私達のここの部分は他の製品に関わることもあるので社外に公開できません」と言い張られると引き下がらざるをえません。なので結果的にノウハウは開発を受けた企業だけに蓄積していることになっているのではないかと思います(疑いすぎでしょうか)。

 

契約をしてもなかなか実効性が保てないのが現実ですね...。とはいえ契約でノウハウやアイデアが私達のスタートアップに帰属するという取り決めをしてあるのは高評価でした

 

最後に 

私のスタートアップでは製品を開発しているので、毎日の大半は開発や製造についての業務がほとんどで、ついつい特許対応は後回しになってしまいがちです。でも企業価値評価が実際に始まると特許が企業価値にダイレクトに反映されることを実感します。特許をとっていないときは大企業は話を聞いてくれませんでした。そりゃそうですよね。

 

開発は成功するのか失敗するのか分からないから、毎回毎回開発開始前に時間と労力をかけて特許スクリーニングをするのは無駄が多いようにも感じるかも知れません。でも開発が成功しても特許スクリーニングが不十分であれば企業価値が大きく下がってしまうことを考えると、やはり開発前の特許スクリーニングは必要だと思います。

 

私自身は試行錯誤中ですが、開発開始前、開発中盤、開発終盤で特許スクリーニングを上手に配分するのを目指しています。

 

今日は以上です。ありがとうございましたーー!

 

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社内で提案が通らない理由と対策を考えてみた

ある大企業で働く後輩から「社内でいくら提案をしてもいつもいつも却下されてへこむ」という悩みを聞きました。私自身も大企業に勤めていた時に提案をしても毎度毎度却下されて悩んでいた時期があったので他人事には思えず当時の悔しさがよみがえってきました。悔しかったですね~。当時は「なんで上司はわかってくれないんだ!」と憤ってばかりいました

 

その後私自身でも上司の立場も経験し、部下の視点と上司の視点を持つ事ができたので、提案が却下される理由とその対策について書いてみようと思います。

 

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 目次

 

提案が却下される4つの理由

最初にまとめるとこの4点です。

  1. 提案内容が不十分
  2. 上司のモチベーションが上がらない
  3. 提案者と上司の関係が悪い
  4. 提案を実行できない社内事情がある

1から4にかけて提案を通す難易度が高くなっていきます。特に1から3は提案者自身の努力でかなり改善できるけれど、4は提案者には知る由もない事情であったりコントロールできない内容であったりすることが多いため、対策はとても難しくなります。

 

まず1の「提案内容が不十分」について。

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私が上司という立場で遭遇してきた例はこのようなものです。()内はその時の私の心の声です。

  • 解決すべき問題に共感ができない(それって本当に問題なの?)
  • 解決方法が問題解決につながっていない(えぇ!問題解決しないよね...?)
  • 一つの解決方法しか検討されていない(他の方法もあるよね?なんでこれ?)
  • 費用、時間、労力をかける割に効果が小さい(効果めちゃ小さいよね...?)
  • 提案を実行する時期が悪い(今はもっと集中すべき超重要案件があるじゃん!)
  • など

 

こうやって書いてみると「そりゃそうだ」と思う内容ではないでしょうか。でも実際にやってみるとなかなかできないですよねーー。これは社内提案だけではなくて、他社への提案でも同じことがいえると思います。このように書き出してみるとこの内容は先日投稿した投資家へのプレゼン方法ととても似ているなと思いました。仕事で他の人達に動いてもらうという意味では同じなんですねー。

 

【投資家へのプレゼン方法】

お薦めTEDトーク5「VCへのプレゼン術」 - スタートアップであっぷあっぷブログ

 

あと上司になって感じることが多いのは「提案は嬉しいんだけど、まずはあなたの仕事をきちんとこなして欲しい」ということです。メンバーがそれぞれの役割を最低限果たしたうえで、さらによくなるために提案をしてほしいと感じてしまいます。あれもこれも中途半端になりそうに感じて、提案を一旦とめてしまうことはあります。最低限の役割はしっかりこなしたうえで提案をしてくれると上司も喜んで話を聞きたくなります。

 

ちなみに自分が大企業で働いていた時にこれができていたかというとできていなかったです。振り返ってみれば上司や周りに甘えていて「分かってくれて当たり前」、「組織にとっていいことだから喜んでくれるはず」という感覚がどこかにあったような気がします。

 

次に「上司のモチベーションがあがらない」について。

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新しい提案が部下から出てくると喜ぶ上司も入れば、面倒くさがる上司もいると思います。人間ですからね。提案を喜んでくれる上司であればラッキーですね!でも内心は提案を喜んでくれない上司も多かったりします。

 

上司がモチベーションがあがらないのは上司本人にとってのデメリットがメリットを上回っている場合がほとんどではないでしょうか。例えば「すでに仕事はいっぱいあるのに仕事がさらに増えてしまう」や「面倒な社内調整をしないといけない」などです。もしくは「これは自分達の仕事ではない」と思っている場合もありそうです。

 

肌感覚ではこのケースはかなり多いように感じます。上司としても下手に動いて上司の上司や周囲からひんしゅくを買うのをさけたいと思っている場合があると思います。自分の立場も大切ですからね、わかります。

 

3の「提案者と上司の関係が悪い」について。

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これは感情的な問題です。提案する私達も提案を受ける上司も人間ですので感情の問題は発生します。「何を言うかではなくて誰が言うか」というのは影響力を及ぼそうと考える時は常に重要です。

 

提案者と上司の関係が悪ければ「お前の言う事なんか聞くもんか」と思う上司もいます。正しい正しくないはさておきこういうケースは多くあるのではないでしょうか。社会人になりたての頃の私は「感情の問題はさておき組織にとって良いことをするのがプロフェッショナルだろ!」といきり立っていましたが、正論だけでは人は動かないということを悔し涙を流しながら学びました。いろんな人が言っている内容ですね。知ってはいたけど分かっていなかった、という状態でした

 

逆に提案者と上司の関係が良ければ、上司からいろいろアドバイスも得られるでしょうし、提案を通すように協力もしてもらえるでしょう。人間関係、大切ですね!

 

最後の4の「提案を実行できない社内事情がある」について。

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Reimund BertramsによるPixabayからの画像

 

 これは提案者の立場からはなかなか見えない理由なので難易度が高いものになります。社内事情とは例えば次のようなものです。

  • 組織変更がある
  • 人事異動がある
  • 会社や部門の業績が猛烈に悪い

 これらは正式発表があるまでなかなか話すことができないので上司としても辛いところです。この状況で提案者が四苦八苦しても前進するのはとても大変です。

 

自分自身の経験上、上司が説明になっていない説明をして提案を却下する時はだいたい私(提案者)に言えない事情がある時です。上司が理由を言ってくれれば手の打ちようもあるのですが、理由が明かされないので、この状態のままで前進するのはかなり苦しいです。

 

提案を通すための4つの対策

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これまでに理由を上げてきましたので、ここからはその対策です。先ほどの4つの理由に対する対策はこちらです。

  1. 提案時にフレームワークを使ってみる
  2. 上司が動くボタンを押す
  3. 人間関係を良好に保つように心がける
  4. 時間を空けて再提案する

 

1の「提案時にフレームワークを使ってみる」について。

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これはかなり我流ですがスタートアップのプレゼンテンプレートを応用してしまうのが良いと思います。提案に対する決裁者が経営者に近ければ近いほど有効だと思います。スタートアップのプレゼンは「提案するビジネスはこんなに魅力的です」「今こそ私に投資をしてください!」というメッセージを投資家に伝えるものですが、同様に提案を上司にするのは「私の提案はビジネスによい効果をもたらします」「私に提案を実行させて下さい」というメッセージを伝えるものだからです。

 

スタートアップのプレゼンテンプレートを私なりに応用したものがこちらです。

  • 問題
  • 提案する解決方法
  • 費用対効果
  • 実行戦略
  • 他の解決方法
  • なぜ提案する解決方法が良いのか
  • 実行チーム

スタートアップのプレゼンでは「費用対効果」は「ビジネスモデル」で、「実行戦略」は「市場獲得戦略」、「他の解決方法」は「競合環境」、「なぜ提案する解決方法が良いのか」は「差別化要因」になります。

 

ここまでの内容が提案に盛り込まれていれば提案としてはOKではないでしょうか。この中で特に大切なのは「問題」「提案する解決方法」「費用対効果」だと私は思います。社内提案の話なので状況に応じて省略できる項目もあると思います。大企業で研究員をやっていた時は費用対効果の観点が抜け落ちていましたね~~(汗)

 

慣れるまでは面倒なプロセスですが、ゆくゆく経営者になりたいと思う人にとっては良い練習になると思います。

 

【参考:投資家へのプレゼン方法】

お薦めTEDトーク5「VCへのプレゼン術」 - スタートアップであっぷあっぷブログ

 

2の「上司が動くボタンを押す」について。

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これは上司が行動を起こす状況を作るということです。上司の行動原理を理解して、それに沿って提案を行うことで上司に行動を起こしてもらって提案を通して実行に移すということです。

 

私が経験した上司にはこのような人達がいました。

  • 上司の上司に言われた事に対しては即座に行動する上司
  • 周囲の人に褒められたら嬉々として行動する上司
  • 「苦労したんです!」と感情的に訴えると行動してくれる上司
  • 「助けて下さい!」と頼ると行動してくれる上司
  • 他社事例があると安心して行動してくれる上司
  • 責任が発生しないことが確認できると行動してくれる上司

 

このように上司が行動を起こしてくれる状況をよーーーーく観察しておいて、ここぞという時に行動を起こしてくれる方法をとりました。例えば「上司の上司に言われた事に対しては即座に行動する上司」に対しては、上司の上司に提案を持っていって味方になってもらうようにしました。「周囲の人に褒められたら嬉々として行動する上司」に対しては、上司の周囲の人に提案を持っていって味方になってもらうようにしました。完全にゲーム感覚です!ゲームと同じで攻略方法を見つけるまで試行錯誤の連続です。ゲームだと思えば提案が却下されたときに腹を立てたり悲しくなったりしなくてすみますし、再挑戦する気力がなえません。あっ、このボタンを押したら爆発しちゃった!とか、おっこのボタンはなかなか有効だ!とか楽しいですよ。ゲーム化する(gamification)のはおすすめです!

 

このボタンを押すときに注意をするのは、上司にもメリットがあるような提案の仕方をする、ということです。部下の提案に乗ってみて良かったなぁと上司が感じてくれれば職場の雰囲気も良くなるし、次の提案もしやすくなります。自分ひとりの手柄にするのではなく、協力してくれた人達の手柄にするのはとても良い影響が出ると思います。自分自身にデメリットは一つもありません。より多くの人がハッピーになるような提案方法が望ましいです。

 

3の「人間関係を良好に保つように心がける」について。

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これは言うまでもないことだと思います。と言いつつできないときはできない!ものですよね。私もできないときが少なからずあります。だって人間だもの。

 

なのでこれは人間関係をこじらせないように心がけるくらいしかできないようにも思います。人間関係がこじれるのはデメリットが大きいことを肝に銘じて人間関係を良好に保つように心がけることで、徐々に人間関係のこじれは減らせると思います(自分にも言い聞かせています)!

 

4の「時間を空けて再提案する」について。

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提案者が知らないような社内事情で提案が却下されている場合は、その社内事情が明らかになってから再提案をするのが良いと思います。組織変更や人事異動があれば、新しい体制で提案をすれば良いし、会社の業績が悪い場合は、費用がかからない方法を選択すれば良いことになります。

 

自分自身の経験では、会社の業績が悪くて提案が却下されていたことがありました。この時は結局外部資金を調達することを計画に加えることで提案を認めてもらうことができました。この時は「会社からお金が出ていかないならいいや」という消極的な反応もありましたが、「そこまでしてやりたいなら応援するよ!」という予想外の前向きな反応が新たに出てきました。行動をおこしてみると周りの環境が変わっていく、というのを実感する良い経験になっています。

 

最後に

 長々と書いてしまいましたが、提案内容のブラッシュアップは前提として必要だけど、その提案を通して実行に移すには結局人間関係が大切という内容です。私自身の経験では「上司が動くボタンを押す」のをゲーム感覚で楽しめるようになるとストレスも減るし提案も通りやすくなったので、上司に却下されてばかりでイライラしてしまう人にはとてもおすすめです。

 

 今日は以上です。ありがとうございましたー!

【英語】うだびお?(コーヒースタンドにて)

今日は英語で困った話をします。

 

飛行機の乗り継ぎでアメリカの空港にいたときの話です。時間があったのでコーヒーを買おうと思い、コーヒースタンドに立ち寄りました。

 

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 ゴリ「こんにちはー」

 店員さん「こんにちはー」

 

 ゴリ「コーヒーMサイズ1つください」

 店員さんうだびお?

 

ゴリ心の声(え?いま日本語しゃべった?宇田ビオ??)

 

 ゴリ「...」

 店員さんうだびお?

 

ゴリ心の声(やっぱり「うだびお」って言ってるー!日本語みたい。なになに?!)

 

 

皆さん、店員さんが何て言っているのか分かりますでしょうか?

 

 

 答えは...

 

  ↓

  ↓

  ↓

  ↓

  ↓

 

 

Would that be all? (注文は以上ですか?)

 

でした。そっかーーーですよね。

発音は日本語そのままで「うだびお」です!


いやーーー日本語にしか聞こえなかったですねー。英語って難しい。

 

スーパー、レストラン、お店などで聞かれるほかのフレーズはこんな感じでしょうか。カッコ内は適当につけた訳です。

 Is everything OK? (万事OKですか?)

 That's it?  (それで全部かな?)

 All set?  (完了?)

 

今日は以上です。ありがとうございましたー。

 

【役に立たない英語の本】 


 

 

お薦めTEDトーク5「VCへのプレゼン術」

投資家が最も重要視しているのは「あなた」 David S. Rose

 

ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家から資金を出してもらいたいと考えている方はいますでしょうか?上司や取引先など仕事上で協力してもらいたい人はいますでしょうか?

 

今日は投資家へのプレゼンの仕方についての動画をご紹介します。シリコンバレーで起業家兼エンジェル投資家として活動しているDavid Roseさんが説明をしてくれています。あまりTEDっぽいプレゼンではありませんが言っている内容はスタートアップをやろうとしている人、やっている人の参考になります。またこのプレゼン術は投資家に対してだけでなく、上司や取引先など仕事上で協力してもらいたい人に対しても応用できます

  

目次

 

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投資家がみるのは「あなた」

ビジネスモデル、財務、経験などなど投資家が確認する項目はいくつもあるけれど、投資の一番の決め手は「あなた」!「あなた」に投資をしたらきちんとリターンが返ってくるかということを見ているそうです。

 

私の経験でも似たようなことはたくさん聞いてきました。企業でも大学でも言われていたのは「大切なのは結局ヒトだ」という言葉です。皆さんも聞いたことはありませんでしょうか。時代や場所、環境が違ってもやっぱりこの言葉に集約されるのですねー。

 

シリコンバレーの起業家や投資家が何か特別な神通力を持っているわけではなくて、普段私達も大切にしていることを同じように大切にしているようです。これは朗報ですよね~。

 

「あなた」について重視するところトップ10

もう少し具体的にいうと投資家は「あなた」のどこを見ているのでしょうか?それはこちらだそうです。

  1. Integrity (誠実さ)
  2. Passion (情熱)
  3. Experience (経験)
  4. Knowledge (その領域の知識)
  5. Skill (会社をやっていくスキル)
  6. Leadership (リーダーシップ)
  7. Commitment (最後までやり遂げる覚悟)
  8. Vision (ビジョン)
  9. Realism (現実性を持つこと)
  10. Coachablility (他人のアドバイスを聞く能力)

 

 短時間でこんなに見るのですね!

 

リストの一番目にIntegrity(誠実さ)があげられています。信用できる人間であることが大前提になっているのですね〜。スキルばかりが気になってしまいますが、スキルが出てくるのは5番目です。誠実さや情熱が最初に挙げられているのがとても印象的です。

 

7のCommitmentはお薦めTEDトーク2「GRIT: 成功のカギは、やり抜く力」の内容と同様だと思いました。

お薦めTEDトーク2「GRIT: 成功のカギは、やり抜く力」 - スタートアップであっぷあっぷブログ

 

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9「Realism(現実性を持つこと)」10「Coachability(他人のアドバイスを聞く能力)」については見極めが難しそうです。起業家は情熱を持って自分の信じている未来に向かって突き進む事が必要ですが、こちらにあげられたように現実性を持つことと他人のアドバイスを聞くことも同時に求められています。他人の言うことが必ずしも正しいことではないし、現実だけを見つめていてもダメです。夢を待ちつつどこまで現実的なプランを描き、ビジョンを待ちつつどこまで他人の意見を聞いたら良いのでしょう。結局はバランスということでしょうか。難しいなー。

 

私の師匠であるシリコンバレーのエンジェル投資家もこの「Coachability」は必要だと何度も言っていました。投資家の言う事を聞かない起業家がそれだけ多いのでしょうね。投資家の意向に従わない起業家達は容赦なくクビにされていました(えげつなーーー)。。。スティーブ・ジョブズもある時アップルをクビになりましたしね。でも結局低迷したアップルを救ったのはスティーブ・ジョブズだったことを考えると、どこまで他人のアドバイスを聞くのがよいのかは実際は判らないな~と思います。

 

プレゼンの流れ

 VCへのプレゼンは小学生を相手にするように分かりやすく一歩一歩話を進めなくてはいけないとのことです。プレゼンに含める内容はこちらです。

  1. Company Logo (会社のロゴ)
  2. Business Overview (事業概要)
  3. Management Team (経営陣)
  4. Market (市場)
  5. Product (製品・サービス)
  6. Business Model (ビジネスモデル)
  7. Strategic Relationships (提携)
  8. Competition (競合環境・差別化)
  9. Barriers to Entry (市場参入)
  10. Financial Overview (財務概要)
  11. Use of Proceeds (資金の使い道)
  12. Capital & Valuation (必要な資金、企業評価額)

 

動画へのリンク 

こちらがYouTubeにあがっていた動画のリンクです。クセが強い感じですね~。まったく着飾ってなくていかにもシリコンバレーにいそうなエネルギーにあふれた方です。すごいな~。楽しそう。

 

デイビッド・ローズの「VCへのプレゼン術」

youtu.be

 

最後に

自分のスタートアップに資金を出してもらう時に日本のVCへプレゼンをする機会が何度かありましたが思い出すだけで胃が痛くなります。苦労しました。ストレスで奥歯も割れてしまいましたしね。私、繊細なんです。VC怖いよーーー!この動画が言っていることに少しでも近づけるようになりたいな~。次回プレゼンをする前にはこの動画をまた見ようと思います。

 

個人的にはシリコンバレーの投資家よりも日本の投資家の方が優しくてこちらが言おうとしていることを理解しようとしてくれる印象があります。起業して資金調達するなら日本の方がやりやすいかも、でもExit(M&AIPO)するときにはシリコンバレーのVCや投資家の方がネットワークが広いので有利かもなぁと思います。

 

今日は以上です。ありがとうございました!

 

【その他のお薦めTEDトーク

 

製品の開発スピードをあげるには

製造系の会社にとって製品開発をいかに短時間で行うかというのは永遠のテーマではないでしょうか。

 

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今日ある会社の技術責任者とお話していて「開発が長引いているけど一向に進まなくてストレスだ」とお話されていました。内容を聞いてみると「なるほど~」と思うことがあったので考えを整理してみました。

 

製品の開発スピードをあげるための私の結論はパクれるだけパクる!です。ひきました?えーーーーって声が聞こえてきそうです。すみません。上品に言い換えれば「先達の偉大な知恵をなるべくお借りする」ですし、かっこいいビジネスマン風に言い換えれば「ノウハウを導入する」です。

 

今日お話した方の話だと、何気なくなのか、何でもかんでもオリジナリティを追求しているのかは判りませんが、とにかく新しいことが多すぎるように思いました。

 

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新しいことが少なければ少ないほど開発中のトラブルは少なくなり、結果として開発スピードがあげられます。「そりゃそうだ。でも単なるコピー製品ができあがるだけじゃん!」という声が聞こえてきそうです。というか聞こえてきます。

 

もちろんすべてをパクるわけではありません。「差別化ポイント」を入れます。「差別化ポイント」だけに新しいことを含め、この「差別化ポイント」の開発に時間と費用を集中させる、というものです

 

まとめるとこちらです。

  1. 差別化ポイントをきめる
  2. 差別化ポイント以外は可能な限り実績のあるものを使う(パクる!)
  3. 差別化ポイントの開発に時間と費用を集中させる

 

差別化ポイント以外の部分については実績のあるもの、もしくはそれに近いものを考えられる手段を尽くして探し出すことが大切です。ここで開発スピードに差がつきます。

 

やってみて初めてわかることも多いので、実際には1-3を何度も繰り返すことになります。かっこよく言えばリーンスタートアップの考え方です。お客さんにとって大切なところに差別化ポイントを設定してそこに時間と費用をかけるのが理想なので、そのようになりたいなと思って日々修行中です。だいたい思い通りにはならないですね~~。

 

あとは無理そうであっても最短のスケジュールを立てるということをしています。最短スケジュールでの目標達成を目指すのでまずスピードが上がります。開発にはトラブルがつきものですが、それでも目標を変えずに時間短縮を図ります。知恵を絞ってとにかく時間短縮を図ります。結果として少し遅れが発生しても余裕を持ったスケジュールで開発するより早く開発終わります

 

長い夏休みがあっても、夏休みの終わりに宿題を一気に片づけていませんでしたでしょうか?そんな感じで余裕を持った計画をたてると、ダラダラして時間を使ってしまいがちです。スタートアップではその時間がもったいないので超タイトなドSなスケジュールを立てるのがおすすめです

 

それにしても他の会社のことを聞くと気付きがたくさんでてきますね。自分の会社のことも人に見てもらうと色々改善ができるので、たくさんの人達に見てもらいたいなと思う今日この頃です。

 

今日は以上です。ありがとうございました!

 

【関連ブログ】 

gorilyn.hatenablog.com

 

【おすすめ本】リーンスタートアップ

 

博士課程の学生に生活費が支給されるニュースを聞いて

あーーー僕も大学院生の時に生活費がほしかったなぁと思うニュースがありました。大学院博士課程の学生7800人に生活費240万円が支給されるそうです。

 

日経のニュース:博士課程学生に生活費240万円 政府、7800人に支援

www.nikkei.com

 

私は大学1年生から大学院博士課程2年生までの合計8年間、日本学生支援機構(旧日本育英会)から奨学金(返済義務あり)を借りました。実に700万円の借金!

 

収入無いのに借金の額がすごいなと思いつつ、もちまえの根拠のない自信で「何とかなるさ」と思っていました。貧乏でも充実していましたからね。ただ、博士課程に進まなかった友人達が異性とお金のかかる遊びをしていたり結婚して子供が産まれたりしているのは正直うらやましかったな~。友達の結婚式でお祝儀を渡すための節約もしてましたしね(遠い目)。政府から年間240万円支給されたら、借金が増えることなく博士課程に行けてしまいますね!

 

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このニュースの背景としては、日本政府や大学が科学技術力維持のために博士課程の学生を増やしたいと考えているのだろうと思います。これは良く分かります。大学で研究成果を生み出すのは大学院生の働きによるところが大きいですからね。研究成果を得るために日本政府が若手研究者を一時的に雇っているような感じでしょうか

 

一方で学生の立場から見ると、 生活費の心配が減るので大学院の博士課程には行きやすくなったけど、その後のキャリアパスが描けないと博士課程に行くことに対する抵抗感は残るのではないかと思います。

 

2000年代にも博士課程の学生を増やした時期があって、その時は卒業後のポストが無くて問題になっていました。余剰博士問題と言われていたような。多いと言ったり少ないと言ったり忙しいですね。。。当時、博士余りの問題はこんな悲しい動画にされていました(実際はこんなにひどくなかったように思いますけどね)。卒業後に行方不明者がまあまあいたようです。

 

【修正版】 創作童話 博士が100人いる村

youtu.be

 

肌感覚でしかありませんが、2000年代よりも現在の方が博士課程卒業後の選択肢は多くなったように感じています。2000年代は多くの人が大学や研究所での就職を希望しましたが、現在は企業に参加したり起業に興味を持つ人も多くなったのではないでしょうか。また受け入れる側の企業も大分柔軟になったように思います。(違ったらごめんなさい)。

 

個人的には2000年当時も今も同じ考えを持っているのですが、就職先を日本国内に限定しなければ機会はたくさんあると思います。もちろん競争は熾烈なので大変ですが、それでも機会があることに違いはありません。私は卒業後にアメリカの大学で研究員になりましたが、日本国内だけに活躍の場を限定してしまうと選択肢が少なくて大変だと思います。個人的な事情がOKであれば、博士号を持っていたら海外でもそれなりに認めてもらえるわけなので、その状況をどんどん利用して海外で働くのが良いと思います。

 

私はアメリカの大学で働くことで、自分自身で自分の可能性に限界をもうけていたことに気づき、その後の生き方が変わりました。海外に出る事は辛くて大変な事も多くて良い事ばかりではないけれど、新しい価値観を体験できるのは素晴らしいと思います。一度日本を出てみると、日本のすばらしさも実感できるし、海外で働く事の抵抗感も低くなります。

 

また私もそうですが、研究者としてだけでなくビジネスマンとして生きていく道もあります。この場合も必ずしも大学院での経験は無駄にはなりません。私はスタートアップで仕事をしていますが、研究者の経験は間違いなく生きています。特に誰もやった事のない製品やサービスをつくるプロセスは研究に似ています。挑戦的な課題を設定し、仮設と検証を繰り返して課題解決を目指すプロセスは研究と同じだと思います。

 

ちなみにアメリカの状況について言いますと、以前まとめたようにMITで博士号をとった人達も研究者以外の道を選ぶ人も多くいます。研究者以外の方が待遇が良かったりしますしね。

 

MIT博士号取得者のお給料【職業別】

gorilyn.hatenablog.com

 

アメリカでは「優秀な卒業生達はスタートアップに行く」ということをよくききました。実感としてはやっぱり大学で働く人が多かったように思いましたが、日本でも同じような事が言われる時代が来るかもですね!アメリカの企業は日本企業よりももっともっと積極的に博士を求めていましたね~。

 

いずれにしても博士課程の学生に生活費が支給されるのは良いニュースだと思いました。大学院生の頃の記憶が少しよみがえってしみじみしてしまいました。確かに大学院に進学して借金は大きくなったけど、そんなの関係なく健康に楽しく人生を遅れている幸運に感謝しかありません。ラッキーです。大学院に行けたことにも感謝です!

 

今日は以上です。長文を読んで頂きましてありがとうございましたーー。