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元研究者のスタートアップ経営者がスタートアップでの経験やキャリアについて発信するブログ。雰囲気ゴリラ似。

グラフにしてみた:MIT博士号取得者のお給料【業界別】

今回はMIT博士号取得者の職業別のお給料をグラフにしてみました~。完全に野次馬根性で作りました。こんな感じです。

 

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MIT博士号取得者のお給料【業界別】(中央値, 100 JPY/USDとして換算)

 引用元はこちら

MIT Career Advising & Professional Development より

https://capd.mit.edu/sites/default/files/2019%20EDS%20Pay.pdf

 

やっぱり投資系は圧倒的に高給取りですね!一年目で3千万円!びっくり。すごいなぁ~~。ウォール街をピンストライプのスーツ着て歩いてそうですね(かなりミーハーなイメージだけど。。。)。意外なのはファンドや信託などは投資系ほど高給取りではなかったところでしょうか。同じ金融でも全然違うものですね。。

 

一方で製造系や大学は比較的に低めのようです。これは日本と似た構造ですね。

 

専攻別の情報を見た時に数学専攻の卒業生のお給料の高さが不思議でしたが、もしかしたら卒業生達の何人かが投資系のお仕事に就いたのかも知れません。取引はアルゴリズムで行われているとも聞くので。

 

学部卒業生や修士卒業生のデータもありましたが、こちらは興味がわいたらグラフにしてみようと思いまーす。それでは!

 

*これまでにアップした専攻別と業界別のグラフはこちら。

 

MIT博士号取得者のお給料【専攻別】

gorilyn.hatenablog.com

 

MIT博士号取得者のお給料【職業別】 

gorilyn.hatenablog.com

 

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グラフにしてみた:MIT博士号取得者のお給料【職業別】

前回に引き続きMIT博士号取得者のお給料についてですが、今日は職業別の情報をグラフにしてみました

 

早速見てみましょう。 中央値をグラフ化してあります。

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MIT博士号取得者のお給料【職業別】(中央値, 100 JPY/USDとして換算)

引用元はこちら

MIT Career Advising & Professional Development より

https://capd.mit.edu/sites/default/files/2019%20EDS%20Pay.pdf

 

 経営に携わる人が1650万円で一番高い大学院を出てすぐに経営者ということは、これはスタートアップでしょうか。それとも元々経営者だった人が大学院に通ったのでしょうか。。。その次に高いのがトレーダーやソフトウェア開発者で約1500万円(中央値)。巷にあふれるニュースで聞く話と傾向が一致しているように思います。

 

一方で研究者のお給料が比較的低い結果になっています。これもそうだろうなぁという感じでしょうか。ただ情報系の研究者だけ給料が高いようです。ここでも情報系は強いようですね~。

 

需要と供給の関係で分かりやすく給料が変わっているように感じます。人材であっても需要が高くて供給が低いと給料が高くなる傾向かな。こういうところはアメリカっぽいな~。当たり前と言えば当たり前のように感じるけど、多くの日本企業が採用してきた年功序列システムだと需給関係とは無関係に年齢で決まってしまうんですよね~。だいぶ違う。年功序列が向く業態と向かない業態があるのではないかなぁ。

 

次回は業界別のグラフを作ります。

 

MIT博士号取得者のお給料【専攻別】

gorilyn.hatenablog.com

 

MIT博士号取得者のお給料【業界別】

gorilyn.hatenablog.com

 

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グラフにしてみた:MIT博士号取得者のお給料【専攻別】

MIT博士号取得者のお給料(初任給)についての記事を書いたけど、数字の羅列だと見辛いな~と思ったのでグラフにしてみました。手間がかかるので(面倒くさがりですみません、、)馴染みのありそうなものだけピックアップしてあります。

 

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MIT博士号取得者の専攻別お給料(中央値, 100 JPY/USDとして換算)

引用元はこちら

MIT Career Advising & Professional Development より

https://capd.mit.edu/sites/default/files/2019%20EDS%20Pay.pdf

 

こうやってみると経営とか経済を専攻している人達のお給料が高いですね!一方で生物学専攻の人達がこの中では一番低いみたい。と言っても1千万円超えてるけど。すごいな~~。

 

理系の範囲で見ると電子工学やコンピュータサイエンスのお給料が比較的高いみたい。ソフトウェア系の産業が好調だからかなぁ。

 

こう言っては失礼だけど数学専攻の人のお給料も予想以上に高くてちょっと驚き(失礼しました!)。これは金融系の産業で働く人が中央値を引き上げているのかなぁ~~なんて想像力がたくましくなります。

 

こうやってみると職業や業界による違いを確かめたくなりますね!ということで次回以降に職業別、業界別のものもグラフ化してみたいと思いまーす。もう完全に野次馬根性です!

 

以前のMIT博士号取得者のお給料事情についての記事はこちら

gorilyn.hatenablog.com

MIT博士号取得者のお給料【職業別】 

gorilyn.hatenablog.com

MIT博士号取得者のお給料【業界別】

gorilyn.hatenablog.com

 

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MIT博士号取得者のお給料事情

昨年の後半に大学院生向けに講義という名のおしゃべりをする機会を頂いたので、かなーり軽いノリでお話をしてきました。

 

その中で学生の食いつきが最も良かったのが、マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号(PhD)を取得した卒業生達のお給料情報!

 

僕の話の内容じゃなくてそこ?!とも思ったけど皆正直な反応だったなぁ。お給料は確かに切実な問題だから理解できる気もします。

 

僕の傷心はさておきお給料の話をすると、MITでPhDを取った人達やポスドク(博士研究員)の最初の年のお給料は日系企業の初任給よりもだいぶ高い。皆さんの想像通りですよね。きっと。

 

どれくらいかというとこんな感じ。

 

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MIT PhDの給料情報(MITのホームページより抜粋)

引用元: MIT Career Advising & Professional Development より(全専攻の情報があります)

■ 元の情報が削除されてしまったようです。最新版のリンクはこちらからどうぞ。(2021年9月更新)

https://cdn.uconnectlabs.com/wp-content/uploads/sites/123/2021/08/2020DoctoralExit_SalarySupplementCAPD.pdf

 

専攻によって全然ちがいますが、例えばコンピュータサイエンス情報工学?)専攻の人であれば一年目で 147,500 USD(ポスドク以外の中央値)。日本円で1475万円 (1USD=100JPYで計算)。

 

博士号を持った人が日本企業に就職すると初任給はいくらくらいでしょうか?500万円くらいでしょうか?私がアメリカの大学のポスドクを辞めて日本の大企業に就職した時は約15年前でしたが最初の年の年収は450万円でした。当時は年齢で給料が決まっていました。当時でもアメリカ企業に就職するのと日本で日本企業に就職するのとでは2倍程度の給料の差がありました。ただアメリカ沿岸部の生活費(家賃や保険)は東京よりも高かったので、体感的には2倍も収入の開きは無く1.5倍程度だったように思います

 

給料だけ見るとアメリカはいいなぁと思うかもしれないけれどMITのようなアメリカのトップスクールは学費がべらぼうに高いのでこれくらい給料をもらわないと割に合わないという事情もあります。日本は国立大学であればMITの10分の1くらいの授業料で通えてしまいます。授業料の面からは日本の学生はとても恵まれていると思います。

 

ここではMITの情報を掲載したけれど、スタンフォードなども似たようなものになっていると思います。日本の大学でもこのような情報があるのかなぁ。いつか探してみよう。

 

【最新版】MIT博士号取得者のお給料事情【2020年版】

gorilyn.hatenablog.com

 

 MIT博士号取得者のお給料事情をグラフ化してみたエントリーはこちら

グラフにしてみた:MIT博士号取得者のお給料【専攻別】 - スタートアップであっぷあっぷブログ

グラフにしてみた:MIT博士号取得者のお給料【職業別】 - スタートアップであっぷあっぷブログ

グラフにしてみた:MIT博士号取得者のお給料【業界別】 - スタートアップであっぷあっぷブログ

 

このように見てみると、学生の立場から言えば日本の大学の学部を卒業してアメリカの大学院で給料をもらいながら(teaching assistantやresearch assistantとして)PhDを取ってアメリカで働くのが、学費を抑えつつもらえる給料が高くなる戦略になりそうですね。

 

日本企業の経営者の立場から言えば、博士号を持った人を雇うとすれば日本の大学院を卒業した人を雇うのが合理的、となると思います。現在の日本の大企業の多くはこの状況にあるのに、世界的な競争力を失ってしまっているのは、、、何故でしょうかね???

 

僕自身は日本の大企業の報酬体系や人事体系が自分には合わないと感じていますが、その内容は以前のこちらの記事に書いたのでもしご興味があれば読んでみて下さい。日本の大企業も変化の最中だとは思うけど日本の企業も年齢に対して公平に処遇するのではなく、成果や組織への貢献に対して公平に処遇すればいいのに~と思う。優秀な人達が損をして、ぶら下がる人達が得をする人事システムですね(こういうと怒られそうですが...)。優秀な人達は年功序列のシステムからどんどん出た方が良いと思います(小声)。

gorilyn.hatenablog.com

 

PhD以外の情報も出ているのでご参考までに掲載します。

MIT卒業生(学部、修士)の給料情報 (元々の情報が削除されていたので最新版のリンクを記載します。2021年9月更新)

ir.mit.edu

  

 

 

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2020年の振り返りと2021年の目標

あけましておめでとうございます。2020年はCovid-19蔓延で世界中が大変な年になってしまいましたがいかがお過ごしでしょうか。私の仕事もプライベートも多分に漏れず大きな影響を受けました。まずは生きている事に感謝をしたいと思います。

 

今日は仕事に関して2020年の振り返りと2021年の目標を書きたいと思います。

 

2020年の振り返り

振り返ると一番大きいのはCovid-19蔓延で働き方が変わった事!それによる変化はこんな感じ。

  • 在宅勤務が増えて通勤時間が減った
  • 無駄に思っていた対面の面会が減った
  • 雑談が減った
  • ずっと自宅だから気分転換が難しい

 

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2020年の変化をこのように振り返ってみると日常の業務はとても効率的になったと感じています。全体的に無駄が減って業務に集中できるようになりました

 

一方で無駄が減ったせいかアイデアが出にくくなった気がします。視野が狭くなっている気がします。

 

ということで、、、

 

2021年の目標

イデアをたくさん出せるようになる事!意識的に無駄(?)を作ろうかと考え中です。特に人との気軽な意見交換をしたいと考えています。考えているのはこんなところか。

  • 展示会、学会、交流会に参加してみる
  • SNSでも発信してみる
  • 一週間のうち時間を決めてニュースなどを読み漁る

 

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他人からの刺激が足りていない気がするので、そのような機会を探りたいです。webでの学会や勉強会での発表を通じて対話を試みたのですが、なかなか反応が返ってこなくて四苦八苦しています。工夫してみます!質はともかくアイデアの量産をまずは試みます!

 

今年も宜しくお願い致します。

 

 

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記事「東芝、幹部候補をスタートアップに出向」:スタートアップから見るとこう思う

2021年1月4日の日経に「東芝、幹部候補をスタートアップに出向」という記事が掲載されました。世の中にこんな制度があることを私自身は知らなかったのでとても興味深く記事を読みました。どうやら1年間スタートアップに社員を出向させる制度らしい。

 

www.nikkei.com

 

私達のベンチャー企業(スタートアップ)で大企業から人を1年間だけ受け入れるとしたら私達が感じるであろうことを書いてみたい。

 

まず第一に優秀な人材が来てくれるなら嬉しい!しかもタダで!これはすごい。東芝さん、私達の会社も候補にいれてくれないかなぁ。。。

 

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私達の会社では人材採用で苦労しています。信用も知名度もないから無理もありません。特に私達の会社はステルスモード(大っぴらに宣伝しない状態)なので何をしているのかほぼ公表していません。そんな会社に人に来てもらうことは本当に難しい!

 

Indeedで社員募集をかけたことをありますが、1件しか応募がありませんでした。その1件も残念ながらマッチングせず結局採用はできませんでした。普通に募集したら若い大企業出身者なんて来てくれる可能性はほぼありません(涙)。

 

結局私の過去の職場での先輩や後輩に来てもらってようやく成り立ってる状態になっています。(近々スタートアップでの採用に関する記事を書こうと思っています。)

 

私の会社に来てもらっている人達を見ても、大企業の採用プロセスを通っている人の基本的な能力はとても高いです!大企業の人事ってすごいなぁと心底思う。応募者も優秀な人が揃っているのでしょうね、きっと。

 

しかも1年間の期間限定であってもスタートアップとしてはものすごく多くの事が起きるので、決して短期間ではありません。1年前の事はものすごく遠い昔のことのように感じます。そもそも社員も離職する可能性があるので1年だから短すぎるということはないと感じています。

 

会社にフィットしない人が出向してくる可能性もありますが、スタートアップ側で給料を払うのでなければ全く問題ありません。冷たい言い方になりますが、その場合は会社で寝ていてもらっても構わないくらいです。マイナスになる事をしてくれなければそれで大丈夫。

 

唯一の心配事は大企業側への秘密情報の流出でしょうか。いくつか他社への業務委託や共同開発をしていたりするので、そういった情報が流出してしまうのが困ります。

 

 

一方で大企業でも勤めていた経験から、東芝(大企業)側からみるとこの制度のメリットと必要な対策はこのようになるのではないかと思います。

 

メリット

  • 出向者に様々なリアルな経験を超高速に積ませることができる
  • 出向者に経営に近い業務を経験させられ経営の適性を見ることができる
  • 出向者に出身企業を客観的に眺める機会を提供できる
  • 出向者にスタートアップの行動原理を理解させることができる

 

必要な対策

  • 出向終了後の適切な業務設定
  • 適切なインセンティブ設計や評価項目設定
  • 定期的な状況確認

 

対策に関して補足すると、出向して本人が成長しても出向元に戻って以前と同じ業務を続けると物足りなさを感じて離職するようになるから、成長を見越した業務や責務を提供しないといけないと思います。これは海外駐在経験者の離職率が上がることと同じ構造を持っています。

 

私も海外駐在経験があるので、身をもって感じます。出向元での業務であったり、裁量の少なさが物足りなくなるんですよね~~。しかも出向先でどのような経験をしてきたのか元の会社の人からは見えないので、出向中の「成果」は出向元ではゼロカウントにされているんですよね...。「出向先で成果もあげたし成長もしたぞ!」と本人は思っているのに周りの人達がそのようには思っていないのでギャップが生じて本人は居心地の悪さを感じます。

 

また適切なインセンティブ設計や評価項目の設定も重要です。スタートアップの成功と本人の評価がリンクしていないと、スタートアップでの業務に対して本気度が上がらない。正直言ってスタートアップ(特に経営層)の環境は過酷で、大企業の給料制度では過酷さに見合わないです。一般従業員という立場であれば別だけれど、東芝(大企業)が期待するのは恐らく経営層に近い業務経験ではないだろうか。そうなるとインセンティブ設計が難しくなります。まあ出向する本人の特性にもよりますが。

 

またスタートアップも千差万別でブラック企業も存在していると思います。このような環境で心を病んでしまう社員も出てくるのではないでしょうか。なんだかんだ言って大企業は社員を守る制度や文化が定着していますからね。スタートアップは余裕が少ないので、そういう制度や文化の醸成は後回しにしがちです。なので出向元の会社としては、定期的に出向者のフォローアップが必要だと思う。これも海外駐在員の派遣と同じような考えです。

 

いずれにしてもこんな制度があるなんて面白いなと思いました。僕が大企業からの出向者だったらスタートアップが面白くなって大企業を辞めるだろうな~。「なんだ、スタートアップ楽しいじゃん!生活していけるじゃん!」って気づくと思います。

 

東芝、チャレンジャーだなぁ。優秀で挑戦的マインドを持った人を育てたいのだろうが、そういう人達を選抜して出向させたら会社を辞めていくよね、きっと。出向者本人はハッピーに、東芝は残念な事になるかも。でもやってみないことには分からないからまずはやってみることは大切!展開を見守りたいと思います。

 

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なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 5「社内ルールや行事が必要最小限だから」

 こんにちはー。

 

今日はなぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのかシリーズ 5回目「社内ルールや行事が必要最小限だから」についてお話をしたいと思います。このシリーズの最終回になります。

 

これまでのブログに記載した内容を再掲します。 

  1. 開発が遅れると会社が潰れるから
  2. 小さな失敗が許容されるから
  3. 意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから
  4. 専門性の高い他社に業務を委託するから
  5. 社内ルールや行事が必要最小限だから 

 

1-4の内容はこちらに記載しています。 

  1. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 1 - スタートアップであっぷあっぷブログ
  2. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 2 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  3. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 3 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  4. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 4 - スタートアップであっぷあっぷブログ

 

5. 社内ルールや行事が必要最小限だから

 

まとめ

  • 規程類がプロジェクトに最適化されている
  • 社内行事は必要に応じて追加されていく
  • 社内ルール至上主義者が登場すると悲劇

 

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ベンチャー企業では社内の規程やSOP(Standard Operating Procedures)がプロジェクトに必要最低限なものにできるため「無駄」が生じにくい状態です。私達のようなベンチャー企業では、良くも悪くも歴史が浅いので組織として業務経験の蓄積がありません(自慢!えへん)。そのため大企業と比較するとかなり緩い規程しか準備されておらず、業務上で迷った事があればその都度相談をして判断をしていけばよいし、必要であれば自分達にあったルールを作っていきます。こうすることで自分達やプロジェクト、時世にあった行動がとれるようになっています

 

これは少人数だからできることであって、多くの人達が働く大企業ではこのようにはできません。なぜなら人が多すぎて業務上で迷う事も膨大な数に上るし、業務も人も多様なので業務を事細かに規程やSOPとして定めておくことで効率的に会社全体の業務が回るようにしなくてはいけません。

 

つまり大企業では組織全体の視点で見れば、事細かに規程やSOPが決まっている方が断然効率的になるということです。ただ個別の業務に視点を移してみると、会社全体に適用される規程やSOPが業務の妨げになっている事は往々にして生じてしまうデメリットもあります。これは仕方が無いですね...。大企業には歴史があるので、膨大な経験から規程やSOPが作られていてそれはそれで貴重な財産である反面、時代や状況に合わない規程やSOPがゾンビのように生き続けていてこれが自らの足を縛っていることもあります

 

日本の大企業で働いていた時に「5S、5S!」と叫びながら机の位置や電気の点灯ルールなど細かく指導してくれる人たちがいましたが、私は「机のきれいさではなくて、規程やSOPを必要最低限にして働きやすくして欲しい」と常々思っていました。もちろんそんなことを言うと「5S警察」に逮捕されるので心の中に留めていましたが。

 

また大企業にありがちな「研修」や「交流会」といった行事も私達の会社にはほとんどありません。業務時間は業務に集中がしやすい環境になっています(イベント好きにはつまらないかも知れませんね)。これは逆に言うと、ベンチャー企業は「研修」をして社員教育をする余裕があまり無いし(必要だとは思っているんだけど。。。)、「交流会」のように社内ネットワークを広げるための行事の必要性が低いということです。

 

ベンチャー企業の場合でも一つだけ注意しないといけない点があります。ベンチャー企業に社内ルール至上主義者が登場すると悲劇が起こってしまう事があるということです。これは私達のベンチャー企業では起こっていませんが、友達が経営する別のベンチャー企業で起こったそうです(お友達の社長、怒ってたなぁ~~)。

 

そのベンチャー企業で大企業出身者を雇ってみたらその人が前職までに経験してきた大企業では当たり前のルールを一生懸命に導入をしようとしたそうです。きっとその彼としては大企業での経験を活かして貢献したいという気持ちだったのでしょうが、会社の売上を伸ばす事に注力したい時期なのに間接業務ばかりが増えてしまったそうです。友達も「間接部門は余計な仕事ばかりつくるからいらない」とカンカンでした。会社の成長に応じてバランスよく社内ルールを整備していくのがとても重要だと思います。これが難しいですけどね。

 

以上で5回にわたってなぜベンチャー企業の方が製品開発が速いのかという事について書きました!

 

大企業での開発速度が遅くなってしまう理由については特に言及していませんが、ベンチャー企業で開発速度が早くなる理由の逆の事柄が大企業で開発速度があげられない理由にあたります。いつかのタイミングで大企業でこうすれば開発速度があげられるのではないかという事については考えを書いてみたいと思います。

 

あーーー2020年以内に5回書ききった!達成感あるなーーー。よかった!

お付き合いありがとうございました。

 

【なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのかシリーズ】 

  1. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 1 - スタートアップであっぷあっぷブログ
  2. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 2 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  3. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 3 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  4. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 4 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  5. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 5 - スタートアップであっぷあっぷブログ

 

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なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 4「専門性の高い他社に業務を委託するから」

こんにちは~。

 

今日はなぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのかシリーズの4回目「専門性の高い他社に業務を委託するから」についてお話をしたいと思います。

前々々回のブログに記載した内容をこちらにも再掲します。 

  1. 開発が遅れると会社が潰れるから
  2. 小さな失敗が許容されるから
  3. 意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから
  4. 専門性の高い他社に業務を委託するから
  5. 社内ルールや行事が必要最小限だから 

 

1-3の内容はこちらに記載しています。 

  1. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 1 - スタートアップであっぷあっぷブログ
  2. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 2 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  3. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 3 - スタートアップであっぷあっぷブログ

 

4. 専門性の高い他社に業務を委託するから

 

まとめ

  • 専門性の高いプロに仕事をお願いできる
  • 選択肢が多いのでプロジェクトに合ったプロに仕事をお願いできる
  • ベンチャー企業側にはプロジェクトマネジメント能力が必要
  • ベンチャー企業側に確かな目利き力が必要

 

これまでに何度も述べてきた通りベンチャー企業ではメンバー数も資金も限られていることがほとんどではないでしょうか。私達の会社も10名程度のメンバーしかいないし、ベンチャーキャピタルから調達した資金も非常に最低限のものになっています。このような状態では、目標達成のための全ての専門性を自社内に揃えることは元々無理な状態にあります。従って必然的に目標達成のために経験のある他社に業務を委託することになります。

 

私達のような創業間もないベンチャー企業の場合、自社で全ての業務を完了できないという実態はあるものの、他社に業務を委託することの最大のメリットは専門性の高いプロに仕事をお願いできることにあります。自社内に経験やノウハウが無くても他社の知見を借りられてしまうのはとても素晴らしいことです。もちろん自社内で実施するよりも高い費用を一時的に支払うことになるが、自社内で専門家を雇い続けるよりも私達のベンチャー企業では断然良いです(プロに私達の会社を選んでもらう事がまず大変だし、採用できたとしても一つのプロジェクトしか走っていない私達の会社ではそのプロにずっと仕事をしてもらうほどのものが無いため雇用し続けるのが重荷になります)。また自社内にそのような専門性をゼロから蓄えるよりも他社の力を借りてしまった方が断然早いし質も高い場合が多くなります

 

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また高い専門性を持った人や会社は社外に複数の選択肢がある場合が多いため、私達に合った会社に仕事をお願いできる可能性が高くなります。そのような会社の中では当然リソース配分が最適化されていて、私達の会社の依頼に応えられる状況にある会社とそうでない会社とが存在します。タイミングもあります。ですので私達の会社の依頼に応えられる状況にある会社とだけ協議が進めることができるので効率が良いです。

 

私の経験上、この点は大企業でプロジェクトを進める場合とは状況が異なります。私の経験では大企業で新しいプロジェクトを進めようとする場合、そのプロジェクトを進めるために必要な業務を担当する部門にまず仕事をお願いすることになりました。大企業のマネジメントからすればこのように社内資源の有効利用を図ることは当然なプロセスです。

 

問題なのは、この大企業内の担当部門が競合他社と比較して競争力が無い場合です。このような場合でもその部門に業務を依頼しなくてはいけなくなる事がほとんどではないでしょうか。それは上司がその部門を使えと言うからかも知れませんし、人間関係がギスギスしてしまうことをさけるからかも知れません。

 

いずれにせよこうなるとなかなか業務のスピードも質も上がらなくなってしまいます。またその担当部門の競争力が高い場合でもエース級の人材に業務をお願いすることが難しかったりします。なぜならエース級人材は社内でひっぱりだこで儲けの大きな既存事業で重要な役割を果たしていることが多く、うまくいくかどうかも分からない新しいプロジェクト、つまり社内的に優先度の低いプロジェクト、にはなかなか時間を割いてもらえないからです。個人的にそのエース級人材と仲が良かったりすると仕事を受けてもらうこともできますが、いつでもそれが可能なわけではありません。

 

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一方で、これは良い事ばかりではありません。他社に業務を委託する際にベンチャー企業が持っていなくてはいけない能力が2つあります。1つはプロジェクトマネジメント能力で、もう1つは他社の目利き力です

 

プロジェクトマネジメント能力の説明については書籍や他のwebに詳しく記載されていいますが、大まかに言うとプロジェクト全体の中でどの業務を自社で、どの業務をA社で、どの業務をB社で、というように役割分担を行い、全ての業務の足並みをそろえて進めていく能力の事を指します。

 

他社に業務を委託する場合、役割分担や責任分担をきちんと行わなくては進められない大変さもあります。新しいプロジェクトで想定外の事柄が起き続けるようなプロジェクトで他社に業務を委託しつつ進めるのはそれなりに大変な事です。開発が進むにつれて当初の契約内容と変わってきてしまうことは往々にしてあります。それを前提にした契約内容にしておかなくてはいけないし、細かい費用負担について契約に書ききれないものもあります。また複数社に業務を委託していると、トラブルが発生した場合に責任の押し付け合いが始まります。ちなみに私達の会社ではこれらのいずれもよく経験しています(トホホ...)。

 

また他社に業務を委託する際に、その会社の目利き力も必要になる。その会社の実力が私達の期待するものなのかどうかということを限られた情報の中から判断していかなくてはいけません。物凄く慎重に考えて「できると思いますが、できない可能性もあります」と回答する会社もあれば、何でもかんでも「できます、できます」と軽く回答する会社もあります。各社で言葉の指す内容やレベル感がバラバラな中で手探りで探すことになります。

 

何でも「できます、できます」という会社で、蓋を開けてみたら全く実力が伴わずできなかった、という事も実際にあります!私はこのような会社に重要な業務を委託してしまって痛い目にあったことがあります。この時に経営者が判断を誤ると会社が一気に傾くという教訓をかなり痛い思いをしながら得ました。

 

このように専門性の高い他社に業務を委託することで開発速度は上げられますが、そのために自社で持っているべき能力もあるというお話でした。大企業ではこれまで自社内のリソースを使って開発を行う事が多かったと思いますが、世の中から求められる製品が大きくかつ早く移り変わっていく時代にあっては、大企業内でもプロジェクトマネジメント能力を高め、社外の力を上手に使っていくことが開発速度という観点では必要になると考えています。社外に業務を委託する場合、ノウハウの蓄積がとか、自社の秘密事項が流出するとか、費用対効果が悪い、とかいろんな意見が出るだろうが、それに対する意見もいつか別の機会に述べてみたいと思います。

 

次回は「社内ルールや行事が必要最小限だから」について書きたいと思います。


今日は以上です。ありがとうございましたー。

 

【なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのかシリーズ】 

  1. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 1 - スタートアップであっぷあっぷブログ
  2. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 2 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  3. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 3 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  4. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 4 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  5. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 5 - スタートアップであっぷあっぷブログ

 

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なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 3「意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから」

こんにちは~。

 

なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのかシリーズの3回目「意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから」について今日はお話したいと思います。

 

まずは前々回のブログに記載した内容を再掲します。 

  1. 開発が遅れると会社が潰れるから
  2. 小さな失敗が許容されるから
  3. 意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから
  4. 専門性の高い他社に業務を委託するから
  5. 社内ルールや行事が必要最小限だから 

 

1, 2の内容はこちらに記載しています。 

  1. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 1 - スタートアップであっぷあっぷブログ
  2. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 2 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  

3. 意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから

 

まとめ

  • ベンチャー企業は少人数だから情報の共有や社内調整がスムーズ
  • 意思決定者と社員の距離が近い

 

私の会社では総勢で10名程度なのでそもそも全員の意思疎通がとてもスムーズに行う事ができます。それなので認識の共有や社内調整も即座に終わってしまいます。これはものすごいメリットです。なぜならベンチャー企業を取り巻く環境はすぐに変化していくからです。毎週何かしら不測の事態が発生して、方向転換をしなくてはいけないほど状況は目まぐるしく変わっていきます。そんなときに即座に認識共有や社内調整ができるのは、事態に即座に対応するために非常に有利です。

 

(追記:リモートワークになったらこの意思疎通が難しくなってしまいました...)

 

また意思決定者(取締役メンバー)と社員が非常に近い関係にあるので、意思決定者から経営環境の変化を伝えやすいし、逆に現場環境の変化も意思決定者に伝えやすいことがあげられます。そもそもベンチャー企業では意思決定者自体が現場の最前線に立つことも多いので現場の環境と経営環境を一括して見渡すことが可能になります。だから意思決定者と現場がちぐはぐな対応をしてしまう事が非常に少なくて済みます。

 

ベンチャー企業での意思決定の速さについては、「1 開発が遅れると会社が潰れるから」「2 小さな失敗が許容されるから」に記載した通りだけれど、一旦社内で認識の共有や社内調整がされてしまえばすぐに意思決定を行って行動を起こす事になります。

 

1 開発が遅れると会社が潰れるから

gorilyn.hatenablog.com

 

2 小さな失敗が許容されるから

gorilyn.hatenablog.com

 

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一方大企業だと階層が多く、そもそも認識の共有に時間がかかってしまうし、認識共有ができたとしても社内調整に時間がかかり、リスクを冒せないために意思決定も遅れがちになってしまいます。私が大企業で働いていたときにもこの実感がありました。会社のサイズが大きいととにかく社内コミュニケーションコストが高いです!これは大企業に勤めた経験のある方なら同感してもらえる事では無いでしょうか。情報共有の会議、多くありません??

 

実際の例を挙げてみると、私がアメリカ企業に勤めている時にある提案を行いました。その時は直属の上司、財務、税務、法務、知財、研究開発、事業開発、マーケティング、営業、品質保証、フィールドサービスなどなど実に多くの責任者の了解を取る事になってしまいました。自分の部門を除いても少なくとも10部門の説得です!同じ説明を繰り返ししたし、同じような質問を繰り返しうけました。説明を録音しておいて説明を求められるたびにそれを流したいくらいです。このプロセスだけで4ヶ月程かかってしまいました。周囲の説得が終わるころには疲労困憊です...。これが現在の私のベンチャー企業であれば2日程度で終わってしまいます。

 

この過程の中で私がうけた質問の多くは提案プロジェクト中のどこにリスクがあって、そのリスクは最小化されているのか、という観点からでした。これは日本企業で働いていた頃と全く同様な経験でした。大企業での関連部署の関心事はリターンの最大化では無く、リスクの最小化が議論の中心でした。これは前回記載したように大企業にとって「失敗」は失うものが大きいからだと私は考えています。全く同じような経験をアメリカ企業でも日本企業でもしてきているため、アメリカ人だからとか日本人だからという問題では無く会社のサイズの問題だと感じています。

 

以上が「意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから」という項目の説明になります。大企業での社内調整っていろいろ突かれるプロセスなので勇気を与えてもらえるものではないし、本当に心身を削られるプロセスだと今でも思います。大企業にとっては大切なプロセスだと頭ではわかっていても、担当者の精神状態を本当に悪くさせるんですよね。。。なんとかならないものですかね。

 

次回は「専門性の高い他社に業務を委託するから」について述べたいと思います。何とか2020年中に最後まで書きたいです!

 

今日もありがとうございましたー。

 

【なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのかシリーズ】 

  1. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 1 - スタートアップであっぷあっぷブログ
  2. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 2 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  3. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 3 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  4. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 4 - スタートアップであっぷあっぷブログ

  5. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 5 - スタートアップであっぷあっぷブログ

 

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なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 2「小さな失敗が許容されるから」

こんにちは~。

 

なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのかシリーズの2回目「小さな失敗が許容されるから」ということをお話したいと思います。

 

前回のブログに記載した理由一覧はこちらになります。 

  1. 開発が遅れると会社が潰れるから
  2. 小さな失敗が許容されるから
  3. 意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから
  4. 専門性の高い他社に業務を委託するから
  5. 社内ルールや行事が必要最小限だから 

1に関するブログはこちら

 

2. 小さな失敗が許容されるから

 

まとめ

  • 新しい事をやる時には想定外の事がつきもの
  • 研究と同じで仮説と検証の繰り返し
  • ベンチャー企業では失敗が多発してしまう
  • 失敗しても何度でも素早く立ち直ることが大切
  • ベンチャー企業では失敗で失う信頼やブランドイメージが無い

 

実のところ私自身は何事が起きても失敗とは思わないタイプです。頭がおかしい人と思われるかもしれませんが、周りの人達に「失敗」と言われるからそれを「失敗」と呼ぶ人達もいるんだなぁ~、という感じでとらえています。確かに想定外のことが起きて、悔しくて悔しくて涙がこぼれそうな事はありますが(40歳を超えたおっさんなのに。。。)、本心では「失敗」と思っていなかったりします。今回は思ったほどうまくできなかっただけであって、次回うまくいけば全て過程になると思っています(我ながら幸せな考え方ですね)!こうやって文字にすると単なる負けず嫌いなだけな気もしてきますね...。そういえば子供のころから筋金入りの負けず嫌いだし、それも事実だと思います。

 

それはともかく!

 

新しい事をやる時には想定外の事がつきものですこの想定外の出来事が起こることを「失敗」と言うならば、新しい事をやれば「失敗」は山ほどあります。そもそも少なくとも自分にとって未知な事に挑戦をするということは未知の事を既知にしていく作業なので、未知との遭遇、つまり想定外の事との遭遇、は必然的な過程でしかありませんこれを「失敗」と呼ぶのであれば、「失敗」を重ねる事そのものが未知な事に挑戦する事になります。頭がこんがらがりますが、要は「失敗」を重ねないと新しい事はできない、ということ。だから私自身はこれを「失敗」だなんて全く思っていなくて、未知との遭遇は必要な過程であって前進している証としてとらえています。

 

その方が精神衛生上もいいですしね。恥ずかしい思いは少しするかも知れませんが、他人は自分のことをそんなに見ているわけでもないので、「失敗」したと思われてもすぐに忘れられていきます。気にしない、気にしない(一休さんのセリフですね~)。

 

この未知との遭遇の過程の最中にいる時に、往々にして他人には「失敗」とか「成果なし」と見えるようだけれど、それを気にしていたら生きていけないです。未知との遭遇の期間は長期にわたったりもするけれど、あるタイミングで一気に目に見える成果になりますその時を信じて努力するしかありません。もちろん成果に至る前に外部環境によって終了してしまうこともあるけれど、それは悔しい思いはするが仕方が無いことだとして割り切ってしまいます。

 

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仮説と検証

この失敗を重ねて試行錯誤する過程は研究に通じるものがあります。研究では、仮説を立ててたらそれを実験などを通じて検証を行います。これはまさに未知な事を既知にする作業そのものです。研究では既知になった事実を元に仮説を修正して再度検証を行うという過程を繰り返します。そしてある段階で論文化できる程度の仮説検証が蓄積されて、初めて成果として認知されることになります。

 

研究者生活を通じて感じていたのは、この仮説検証プロセスが苦手な人が結構多いということです。同級生や後輩をたくさん見て接してきましたが、短期的に目に見える成果が無いとモチベーションを維持できない人がたくさんいました(これは心理学的にもそうらしいですね)。これは性格的に研究に対する向き不向きがあるように感じています。こう言っては元も子もないけれど、どのような子供時代を過ごしたかに関係するようにも感じています。大学院に来る頃にはほぼ向き不向きが決まっていて、大学院で指導教官や同僚が一生懸命手助けしても研究に不向きな人が急に開眼するようなことは見たことがありません。指導者が支援をすれば言われたことはこなせるようになるけれど、自律的にはなかなできません。(皆さんその後は研究以外の道でご活躍していますのであくまでも研究に対する向き不向きの話です。)

 

本題に話を戻します。

 

大企業と比較してベンチャー企業では小さな失敗が許容される、というか失敗が多発しやすいというのも事実です。なぜなら社内のメンバーが限られているので大企業のように経験が蓄積されていないので、大企業では考えられないようなトホホな失敗が起こります。ベンチャー企業では「失敗が許容される」と言えばかっこいいが、要は実力的にたくさん失敗してしまう状況なんです。この「失敗」は恥ずかしいものではありますが、その恥ずかしさを受け入れても「失敗」にはそれを上回るメリットがあります。それは「失敗」から痛烈に学ぶ事救いの手を差し伸べてもらえる場合がある事の二点です。

 

「失敗」から痛烈に学ぶ事は特に説明不要だと思いますが、痛い目にあった方が、恥ずかしい目にあった方が心底学ぶ事になります。一時は恥ずかしいけれど、確実に成長します。半分意図的に「失敗」することもあるくらいです。例えば取引先相手のいる仕事の最初の方で小さな「失敗」をすると、取引先には私達が経験不十分であることが伝わります。そうすると取引先相手が仕事の内容を詳細に教えてくれたりします。本来は私達自身でお金を払って勉強しなくてはいけないような専門的内容も取引先に教えてもらってしまう事もあります。実際に仕事に関わる内容を教えてもらうので、本やセミナーで勉強するよりも実践的で確実に身に着きます。恥はかくけど得られるものは大きいです!

 

とにかく「失敗」は未然に避ける事に時間を使ってしまうよりも「失敗」しても素早く立ち直る事の方が大切。その方が使う時間に対して成長は大きいです。高校時代のラグビー部の恩師が「タックルされて倒れない事を目指すな、何度倒れてもすぐに立ち上がる事を目指せ」と言っていましたが本当に良い言葉ですね。「失敗」しない事を目指すのではなく、「失敗」してしまっても何度でも素早く立ち上がることが大切です。

 

また「失敗」のもう一つのメリットである、救いの手を差し伸べてもらえる場合がある事についてですが、これは自分達の至らない点を見て親切にも助けてくれる人達がいたりする事をさしています。これは私達ベンチャー企業側から期待するものでは全く無いですが、格好悪くてもがむしゃらに頑張っている姿を見て、「あーーこの人達は本気でプロジェクトを前に進めようと思っているんだな」と思ってくれて協力を申し出てくれる優しい方々が登場したりします。何度このような良い人達に救われてきたことか!!感謝してもしきれないです。

 

またベンチャー企業で「失敗」が許容される他の理由としては、創業したてのベンチャー企業ではそもそも失う「信用」や「ブランドイメージ」が無いからというのも大きいと思います。仮に再起不能な失敗をしても「あーーーベンチャー企業だから仕方ないよね」と思われる事が多いのではないでしょうか。つまり信用が低い。一方で大企業はブランドイメージも高く、社会的信用度が高い。だから大企業が恥ずかしい失敗をするとブランドイメージが棄損する可能性があって、ひいては既存事業を駄目にしてしまう可能性があります。だから大企業が「失敗」を嫌うのは合理的だと思います。大企業のサラリーマン取締役や執行役員が自分の保身に走っているからという理由では無いと感じます。たとえ短期的であっても企業価値を損なうことを株主がなかなか許容してくれないのではないでしょうか。

 

長くなってしまいました。。。次回は3つ目の「意思決定、認識の共有、社内調整に時間がかからないから」について書いてみます。

  

【なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのかシリーズ】 

  1. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 1 - スタートアップであっぷあっぷブログ
  2. なぜベンチャー企業の方が製品開発速度が速いのか 2 - スタートアップであっぷあっぷブログ

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